「警察がこがいなことしてええんか？」
「警察じゃけぇ、何をしてもいいんじゃ」
昭和63年＿
広島の呉原では暴力団が幅を利かせ、尾谷組と加古村組が一触即発の状態で睨み合う中、その関係者が行方不明となる事件が発生する。
時を同じくして、呉原東署に新米刑事・日岡秀一が赴任し、凄腕だが黒い噂の絶えないベテラン刑事・大上章吾と組むこととなる。
手荒で法を逸脱した捜査を進める大上に、最初は戸惑いと反感を抱く日岡だったが、その地道に積み重ねた情報と人脈を駆使した手法に感心し、徐々に傾倒してゆく。
そして、日岡はある秘密を抱えたまま、真の暴力の世界に踏み込んでゆく…。
目を背けたくなるような残酷描写もあるが、ディテールまで計算し尽くされた演出と、個性豊かなキャスト陣の迫力ある演技力に裏打ちされた物語は、旧き良きヤクザ映画へのリスペクトが感じられる骨太な作品だった。
私利私欲にまみれた行動を重ねるかのように見える大上の、その根底に流れる彼の思い。
孤狼（一匹オオカミ＝大上）の本意を理解した日岡は、自分の抱える秘密の裏側を見ることになる。
正義の本質とは何なのか？
期せずして男から男へ渡った、狼のZippoが示すものとは？
久しぶりに心に残る邦画の一本となった。
ハナマル！
2022/03/05
