原作がミステリーの賞をとってるようで、ストーリーが練られてたのは良かったが、それ以上に画面を見ることが楽しい映画だった。
映画館で見て良かったと思えるような、画面いっぱいのどでかい顔の連続。
とにかくカメラが顔と近い。そしてフィルムっぽい粗い粒子の画作り。顔に張り付く汗、土、血、よだれなどの質感の描写をはじめ、画面のカロリーが高い。それがヤクザ映画のつくりとしてめっちゃハマっている。
泥臭いだけではなく、要所要所にスタイリッシュなカメラワークもあったりして、スコセッシのマフィア映画とかも少し連想した。
アツい!痛い!臭い!エロい!という五感に訴えてくるシーンの連続で飽きないし、どの役者も魅力的で画面にずっと色気がある。特に阿部純子が最高。
それから松坂桃李が頑張ってて好きになる。
この時代設定にそぐわない顔つきながらいい感じに汚れていくのが良かった。
あと言わずもがな役所広司。日本映画は役所広司に頼りすぎ、と言いたいところだけど良い。(ピエール瀧にも頼りすぎ)
黒沢清の映画などに出てくるヒゲのない役所広司って怖い顔してるよねと、劇中の写真を見て思った。
名前は偶然なのか、ピエール瀧の役名が瀧井、江口洋介の役の下の名前がモリタカ、などヒメアノ〜ルの森田以来にちょっと面白かった。