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ロスト・マネー 偽りの報酬のumisodachiのレビュー・感想・評価

3.5
途中で邦題が変ったり、結局ビデオスルーとなったりと二転三転した作品。飛行機で鑑賞。

強盗を企てた4人の男たちの乗った車が奪った金と共に炎上。リーダー格の妻ヴェロニカは、金の持ち主である市議会議員候補から脅迫を受ける。困ったヴェロニカは、残りの妻たちに声をかけることにする。結局やってきたのはアリスとリンダのふたり。「金を返すためには、夫が残したノートにある強盗計画を実行するしかない」とヴェロニカはふたりを説得する。かくして、妻たちの強盗計画がスタートを切った…。

けっこう面白かった。経済格差が深刻な地域の市議会選挙を目前に控えているという状況が、単なる強盗ストーリーを複雑にしている。代々街を牛耳っていた議員一家出身の候補ジャックと、黒い金を使って立候補したスラムの対立候補。生活の苦しさから世論が対立候補に傾きつつある中、いまいち政治に興味を持てないジャックは、強圧的な父親や野心家の妻から日々突き上げをくらっている。この選挙戦争が物語りの大きな背景となっている。

死んだ強盗の妻たちは、夫がなにをしているのかは薄々勘づいていつつも、見て見ないふりをしてきた。リンダは自分の店の金を夫にむしりとられる日々で、アリスは夫から酷いDVを受けていた。裕福な暮らしを送っていたヴェロニカにも実は暗い過去があり、その傷を乗り越えられずにいた。

目の前の問題から目を逸らしつづけてきた妻たちが、切羽詰まった状況の中で腹を決め、逞しくなっていく姿は見ごたえがある。特に、エリザベス・デビッキ演じるアリスの成長は目を見張るものがある。弱々しく何もできなかった彼女は知恵と勇気を使ってヴェロニカからの指令を次々とこなし、徐々に自信をつけていく。とある事情から自分の元に逃げ込んできたヴェロニカに対して、「私をバカにするな」と言い放つシーンは感動的ですらあった。

ヴェロニカの過去や、事件の裏に隠されていた真実があまりに悲しくて、さすがにやりきれない気持ちになった。ヴェロニカが気の毒すぎる。しかし、途中で助っ人となるシングルマザーを演じるシンシア・エリポも含めて(全力疾走するシーンは痺れた!)、女性たちのカッコよさは文句なし。ヴェロニカが下す決断もクールで〇。全員に変な甘さがなくてとても良かった。

それにしても、エリザベス・デビッキのビジュアルインパクトは凄い。190㎝ほどある身長と完璧なプロポーション、そして彫刻のような顔面。あそこまで造形偏差値が高い人間がいるんだなあ。

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