10年前からかつての同級生のことを思い続けるこじらせ系女子が、生まれて初めて告白されて両者の間で揺れ動く話。
とにかく松岡茉優の演技とは思えない拗らせっぷりが素晴らしくて最高。
所謂こじらせ女子を描いているけれど、男が見ても全然楽しめるし、大いに笑わせてもらった。
最初の方はただの痛いやつと思って見ていたけど、中盤にミュージカル風に始まるアンモナイトの歌で、ある事実が発覚してからは、そのキャラクターの危うさと愛おしさ切なさに一気に親近感が湧いた。
この歌も実に頭に残る。松岡茉優の歌唱力も脇役の存在感も全てが丁度良くて癖になる。
全体的に彼女のPVといっても過言ではないような感じだけれど、コミカルもシリアスもいける演技力のおかげで飽きずに楽しめる。不覚にもファンになってしまった。
それにしても一方的に10年間も片思いできるって凄すぎ。そこが面白いところでもあるんだけど、一歩間違えればホラーにもなってしまう絶妙さ。
至る所にコメディ色を散りばめつつ、孤独を愛する全ての人に送る人間讃歌の優しい映画だった。