5章からなる世代をまたぐ家族の物語。
第1章が長い。
オスカーアイザック演じるウィルに全く感情移入できない。愛する妻を亡くした悲しみは同情するがトラウマを克服できず現実に向き合えず立ち向かわずウダウダと愛の回想にふける現実逃避のくだりが冗長。
こういう形で心に傷のある人間のケアは困難で正解などないのだが彼の結末はあまりに安易。
残された子どもの笑顔すら眼中になくただ妻アビーへの愛が盲目的なだけで次代に紡ぐストーリーになっていない。
これに共感できる人がいるかしらん。
片やトラウマを抱えた息子を手に負えないと家長を放棄する農夫もいただけない。
農場主に見込まれても自分の在り方を貫く信念ありそうなのだがまったくというほど試練に立ち向かわず自分の殻に閉じこもるだけ。
最後の最後に残された世代が頑張っていく風に結びつける形になっているが、不幸が幸に鮮やかに転化したりもしない。
一縷の希望のように残されたディランが困難な立ち位置からどんな振る舞いするか期待したがこれもパッとしないありがちなはみ出し娘。若者がじいさんに学ぶあるいは共に歩むような世代を越えた人間関係をヒネって描いてほしかった。
製作者がボブディランの歌をフィーチャーしてストーリーに結び付けるのはいいけど(ボブディランの歌の持つ想いを知らなくて勝手なこと言ってすいません)ベタ過ぎて独りよがりに感じた。
全体に情けない男たちの行状が冗長すぎて未来を感じさせる後半が言葉だけという印象だった。
