Aya

心と体とのAyaのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
3.6
#twcn

一部から、大変な評判を聞いておりました。
確かにこれは「胸を打つ」作品。

食肉解体工場で財務部長を務める左手の不自由なアンドレ。
マリカという愛称で呼ばれることに異常な嫌悪感を示す品質検査官、孤立したい女子。

どうも人付き合い下手なようですねマリカ。
変なやつ、嫌なやつだとは思われつつ、一応誘ったりされるのですが、一切無視。
当然のように同僚から過剰なからかい、が起こる。
後々、出てくるんですが、この人小児専門のセラピストの元に通ってるんです!

ある日、工場で牛ちゃん用の性欲促進剤の盗難事件が起き、内部委託した捜査官が、一人一人に性的な事情聴取をするが、このアンドレとマリカは事件当夜に見た夢が全く同じだった。

それを聞いた翌日から、マリカはアンドレに「昨日見た夢は?」と聞いてくるようになる。
なんと毎晩同じ鹿になった夢を見る2人。
少しづつ心を通わせ、夢で逢瀬を重ねる。
しかもそれが現実世界にも影響を来し・・・。
2人の関係は徐々に近づいてゆく。

しかし、恋愛から身を引いた中年のアンドレと恋愛未経験のマリカ。
夢の中の鹿同士では上手くいっても、現実世界ではこの2人はこの関係を深めることに及び越しになっている。

特に全て合理的にしか考えず、不要なものは一切シャットアウトなマリカが、この関係を進展させようと男女の関係のためにポルノを見て勉強したり、愛の歌を聞いたり、そしてマッシュポテト最高でしたね!
絵面がいい!音がいい!感触が伝わる!!

淡々としているようで、2人の心と体に文字通り焦点を置き、その関係性を探っていくという話。
しかも段々と夢の話すら不要になり、対人間としての2人の話が展開される。

特にマリカの成長はいい歳した女性が・・・とか言えないと思います。
彼女が今までシャットアウトしてきたものを、少しだけ、心の扉を開けて受け入れよう、と思っただけで凄いんです。
そのために努力しようとしているだけでとても尊い。
きちんと行動できる子なの!

だって、アンドレと同じ夢を見るまで、彼女の人生にはなかったし、今後もないし不要だと思っていた出来事が舞い込んできたのですから。

「マリカ!脱走脱走!」

て口に出ちゃうよねw

そしてラスト付近にはついにマリカが・・・。

ハンガリー映画かあ。
フランスの上でしたっけ?
あんまり見る機会がないようでいて、たまに見ている気もしないでもない。
映画は静かで見ているこちらも静かで、それが意味のある映画。

映画を見た後、このビジュアルのマリカの顔を見るとなんとも微笑ましくならざるを得ない!

あと、食堂でのシーンがめっちゃ多いんですけど、口では料理名を言ってみたり、なんかスープ的なものを口に運ぶんだけど、そのハンガリー料理、日本人知らないしw具体的に何食べてるのか、料理を一切見せてくれない演出なんだろう?と思いましたw

牛ちゃん解体する人素手やん!!
怖い怖い!!
かなり生々しく、かつ作業的に見せられる動物解体シーン。
実際の工場で撮影されたそうで。
なおのこと衛生的に大丈夫?!

有機質な命を絶つ現場は非常に無機質な空間。
モノとして扱われる死んだ牛ちゃんの内臓、頭、足、各部位・・・お腹すいてきたw
出血量も大量なので工場は常に血だらけ。

いやーそれが普通だよね!!
私たちが日々食べてる牛肉を処理してくださってる人たちはそんな仕事されてますよね!
たいへんだあ。
Aya

Aya