きよぼん

デトロイトのきよぼんのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
5.0
久しぶりに映画館ですげえもんを観た。という感想。序盤の暴動シーンからかなり引き込まれたのは、俯瞰した映像ではなく、誰かの目線のようなカメラワークだったからでしょうか。そして映画の舞台はとあるモーテルに移ります。

モーテルという密室状態で、黒人容疑者を取り調べる白人警官たち。その行為は人権を無視したとんでもない行為へとエスカレートしていきます。

似てる映画があるなあ、と思い出したのは「es」。

つまりは人間というのは、役割を与えられると全うするために暴走しかねないということ。いつもは感情ある人間なのに、職分を言い訳にとんでもないことをしてしまう可能性があるということでしょう。

白人警官たちの大義名分になっているのは「社会をまもるため、黒人にはどんなことをしてもかまわない」という考え方。しかしこれっていうのは、例えば「日本人には何もしてもかまわない」というように置き換わり、自分が被害にあわないとも限らない。また、自分の中にある差別意識がいつ自分を加害者にするかわからない。

偏見と極論でいえば、差別問題を考えるとき「かわいそうな人を助ける」という視点になりがちです。しかしこの映画をみると問題は、差別という意識が社会に組み込まれることになると、自分は被害者にも加害者にもなるということを自覚しておかねばならないということでしょう。
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