恭介

デトロイトの恭介のレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.0
ビグロー監督お得意の
えぐる、映画。
一貫してアメリカの抱える闇を
ドキュメンタリータッチで
えぐり続ける姿勢は本作でも健在。

黒人差別の歴史を振り返る
紙芝居的なオープニングに意表を
突かれたが、その後は最後まで
緊張感を維持するさすがの力量を
見せつける。

特に中盤から本格的に動き出す
モーテルの事件からは、こちらの
感情などお構いナシに不快感と
やるせない気持ちを増幅させてくれる。

映画とはいえ、実話を元につくられて
いるだけに、観てて色んな感情が入り混じり、居心地が悪くなる。

人とはこれほどまでに残酷になれるのか?
人とはかくも簡単に流されてしまうのか?

アメリカの闇=人の闇
いつ、だれが、何かのきっかけで
この闇に飲み込まれてしまうかもしれない危うさを持っている。
ビグロー監督は恐れることなく、その闇に果敢に挑み続け、我々に突きつけてくる貴重な監督だ。

また、今日、本作を鑑賞するタイミングで
繰り返されてしまったアメリカでの銃乱射事件。人種差別と銃は過去の黒歴史ではなく、今尚、アメリカに暗黒の影をもたらしている問題。

繰り返される悲しい惨劇をアメリカは、
この映画を観た我々のように目を逸らさず、真っ直ぐに見据えて考え、行動にうつしてもらいたいと切に願う。
恭介

恭介