メキシコ人監督、いやメキシコ人のhentaiが過ぎる…という話にしようと思っていたのですが、filmarksの表記を見るとスイス・デンマーク・ドイツ・ノルウェー・フランス・メキシコの合作のようですね…。これはおそらく、監督が《もう触手の映画撮っちゃおうかなw #hentai》とツイートしたところ、世界中から名うてのhentaiの富豪達から投資するというDMが入り、引っ込みがつかなくなった結果でしょう。
…完全に憶測ですが、日本には既にアダルトで有るのではないかしら?無いわけない。
映画冒頭から若い女性が薄暗い小部屋の中で触手と絡んでいます…。しかも全裸かと思ったらハイソックス!フェチが過ぎらあ!!
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彼女はヴェロニカ。
中年の女性が部屋のドア越しに「もう出た方がいいわ」とヴェロニカに声をかける。彼女は、この触手部屋?を管理する夫婦?の片割れのようだ。
…外に出たヴェロニカは脇腹を血で赤く染めている。さっさと出てこなかったからか?
その他の登場人物
⚫︎夫Aと妻bと2人の子供。
Aはまるで処理のような性行為をBに強いる。Bは毎日の家事、子供達の世話にくたびれているよう。bには医師である弟Cがいて彼はゲイであるのだが、Aはその事をよく揶揄する。bはその度にCの事を庇うが、…実はCの相手はAである。
病院でヴェロニカの手当てをしたのがC。ヴェロニカはCに性的な会話を持ちかけ個人的な交友関係を持つ。ヴェロニカはCに触手部屋に行くように勧める。
…後日、CはAに別れ話を切り出す。未練は無いようだ。スッキリした表情のC。触手さんしゅごい…。
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むむむむむ。
…まあ、そもそもの間違いは“触手”なんていう邦題なのですが…。このタイトルだと『パディントン』くらいの勢いで画面に出ずっぱりだと思っちゃいますよね?実際はトータルで2、3分がいいところなのでは。英題は『THE UNTAMED』。“飼いならされていない”みたいなニュアンスかしら。原題は…読めません。
触手に触れてしまった人たちは、その快楽に今まで培ってきた人間らしい常識が正常に機能しなくなります。
観始めは触手は人間の願望によって姿を変える“逆ペニーワイズ”みたいな存在なのかと思っていたのですが、どうやら本当に性的興奮を感じさせる事だけに特化した生命体のようなんですね。そして、それが意味するところは…なんなんでしょうねぇ?
劇中で触手の本体を指して「凡ゆる生物の原子の姿」などと言うので、やっぱり性衝動そのものだとは思うのですが、これが向井秀徳言うところの“繰り返される諸行無常 よみがえる性的衝動”というやつなのか?アヒト🇯🇵イナザワはあのままでいいのか⁈
触手の出番の少なさ、実は個人的には全く不満では有りません。寧ろ『マジカルガール』の“トカゲの部屋”みたいに何も映らなくても良いぐらいだと思いましたよ。そもそもの映画そのものの不穏な空気感や、不可解さがとっても好みなのですもん。心の奥を冷たい手でキュッと掴まれたような寒々とした風景描写もホント好き。ラースみたいだったり、レフンみたいだったり、撮影凄く良いんですよね。総じて抽象的な事柄の描写が卓抜。
だから変に思考をロックしてしまうような具体物はいっそ出さずに、ずっとキツネにつままれたような気分にしておいて欲しかった。この監督、きっとその方向性の方が凄い作品が撮れると思うのです。
もし次回作が『両性具有家具人間』とか『半透明インキュバス』とかだったら、もうただのhentaiって事で結構です…。