優しいアロエ

マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)の優しいアロエのレビュー・感想・評価

3.8
 ひねくれ者の父親のもとに3兄妹が集まった。このストーリーの骨格といい、ベン・スティラーの出演といい、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』を何度も彷彿させる本作。やはりバームバックとアンダーソンの作品には近いものがある。

 相変わらず笑えるシーンは満載、泣いてる人物すら傍観してしまう冷めた演出などバームバック流が心地よいのだが、本作の場合、アーティスト一家の話ゆえか感情移入が難しかった。

 『イカとクジラ』における作家家族や『ヤング・アダルト・ニューヨーク』における映画監督の家族など、これまでもバームバック監督は普遍性からは乖離した位置にいる人物を扱ってきたのだが、そこに離婚や育児といった身近なテーマが光っていたからこそ好きになれた。

 本作にも、成功した人物は現実志向/くすぶっている人物は熱いヒューマニスト気味といった具合に興味深い点はあったし、普遍的な家族の話も混ざってはいたのだが、物語の軸足がアーティスト特有の苦悩に突っ込んだまま抜けなかったのは些か残念だった。
優しいアロエ

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