滝和也

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星の滝和也のレビュー・感想・評価

3.7
人類史上、
最大の会戦、ルウム。
先鋒である連邦軍
ティアンム艦隊は、
ジオン全艦艇を束ねた
ドズル艦隊と会敵。

その頃、連絡の主力、
レビル艦隊へと近づく
赤い閃光があった。
そう誕生の時である

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN6
 誕生 赤い彗星」

ガンダム前史、サイド7の攻防以前のルウム戦役〜レビル脱走、演説そして南極条約締結を克明に描く決定版。圧倒的なバトルから圧倒的な政治劇に繫がるストーリー。誰もが知るガンダム史の事実を見事に繋いだ安彦良和の原作をして、今後はこれが正史になるんでしょう。

通常の3倍のスピードのシャアの06Sザクの活躍は前作と今作に別れた事でやや消化不良な部分もあるのですが、赤い彗星の異名を得て然るべき作劇です。また黒い三連星のレビル拿捕、ジェットストリームアタックの片鱗を見せる攻撃シーンも○ですね。そもそもこの戦法は対艦用ですからね。

前半のバトルから後半はザビ家内での駆け引きが連邦、レビルをも絡めとる政治劇へと転換します。拿捕されたレビル将軍が脱出し、ジオンに兵なしと語る演説までのストーリーはギレンの野望をやっていたりする方はお知りのはず。ただサイド3本国に幽閉されたレビルが脱出すること自体が無理筋かなと思っていた所にこのキシリア、マ・クベが暗躍するストーリーはしっくり来ますね。あのエルランが加担しているのも見えますし。

マ・クベとゴップ大将が南極会議で互いにニヤリとする笑みも中々楽しい。ゴップ大将はジャブローのモグラが仇名ですが、実は凄い方。これは漫画のジョニーライデンの帰還を読むと納得します。

またシャアがレビルに会うシーンを見るとニュータイプの理解力の速さがわかりますよ。政治ショーと看破するシャアの切れ者ぶりを魅せる良いシーンです。

サイド7の状況も合わせて描かれ、メインクルーとなるべき方々も集まってきます。やはりカイとアムロが知り合い、クラスメイトはないなぁ…。なんか違う気がしますね。全体を通してやはりファーストへの繋がりと違和感がある部分はどうも苦手です。オリジンなら別に問題はないのですが、これ以外をやらないとなるとやはり違和感が拭えないです…。とは言え、作画は素晴らしい仕上がりだし、原作準拠ですから、楽しめたと思います。
滝和也

滝和也