ミア

ライオン・キングのミアのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
4.0
構成から台詞から画面の構図に至るまで、アニメ完コピを徹底していた。
さすがジョンファブロー。

今回のオリジナル要素もあくまで補足的なものに留まっていてよかった。
特にティモンとプンヴァのもつ菜食主義、ヒッピー的な価値観を、他の動物も登場させてあのオアシスを共同体として描くことによって補強していたように思える。
統制の取れたライオン社会は保守的だが、それを支えるのはサークルオブライフという東洋思想的価値観である。
対してオアシス側はリベラルな価値観を持ちつつも、他人の生と自分の生は一直線であり交わらず、死んだら終わりというキリスト教的思想に近いものをもつ。
本作ではある素晴らしいオリジナル演出(オーバーなのでややギャグっぽくもあるが)によってサークルオブライフ(バタフライエフェクトと混同されている気もする)が表現されるわけだが、それは保守やリベラルを超えた、大きな時間の流れの中で生命が受け継いでいくものを本作が描いていることを改めて気づかせてくれる。

本作を観て思うのは、何よりアニメ版が大人の鑑賞に耐えうるようかなり作り込まれていたということである。
だからこそ実写化するうえでほとんど手直しがいらなかったのだろう。

しかしアニメ版から引き継ぐ疑問点もなくはないわけで、弱肉強食=階級社会はハイエナという下層階級の存在がライオンを為政者たらしめているという構図がやはり気になる。
本作ではその構図は引き受けざるを得ないが、その点ディズニーチャンネルで放送されているライオンガードがしっかりフォローしているので、近年のディズニーは本当に抜かりがないなと思う。
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