ミア

クソ野郎と美しき世界のミアのレビュー・感想・評価

クソ野郎と美しき世界(2018年製作の映画)
3.8
SMAPが大好きで、新しい地図の活動をこの目で観てしまったらもうSMAPから離れなければいけないのではないか、みたいな痛々しいファン心理から敬遠していたが、5人それぞれが最近開き直ってきたようだし、そろそろいいかという気持ちになり今さらながら視聴。

オムニバス作品なので個別の感想は後で書くとして、総じて「新しい地図のPV。以上。」という感じ。
時間も短いし、短期間で制作されたらしいので、それはある意味で製作者の意図通りなのかもしれない。
新しい地図として活動を始めた3人はこんな感じです、さあ使ってください、という業界内向けのPVという趣きすら感じた。

「ピアニストを撃つな!」
園子温監督。稲垣吾郎主演。
私が園子温苦手だからかもしれないが、面白さを見つけられず…。
というか、あの短時間でやるには無理があるというか、せっかくこのタッグだからもっとがっつり園子温の世界にハマる稲垣吾郎が観たかった。
良かったのは、「愛してる」と何度も繰り返し悶える稲垣吾郎。まるで彼の自慰行為を見せられているようだった。稲垣吾郎をあんなに下品に撮る人がいるとは。あそこだけ繰り返し観ていたい。

「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」
山内ケンジ監督。香取慎吾主演。
悪くない。世にも奇妙っぽい。
雰囲気よかったなー、という感想だけが残る。
香取慎吾と少女の食い合わせがいいことに気付かされた。
やはり彼は「人にやさしく」「家族ノカタチ」といい血の繋がってない疑似家族ものがものすごく合ってると思う。
ところであの女性の刑事は某マネージャーを意識しているのだろうかと思ったり。


「光へ、航る」
太田光監督。草彅剛主演。
これが一番良かった。映画としての見応えがあった。だからこそ次にくる新しい詩パートと挟まれて、全体の中で浮いてしまってるわけだが。
前半のアンダーグラウンド感と、後半のロードムービー感の対比がくっきりしていて、それだけでも前二作にはない「映画作るぞ」みたいな気概を感じる。
あれだけ短い時間で、決してPVではなく映画を観た感覚にさせるのは監督の技量だと思う。
脚本も良くて、これも太田光。
ボケの向こう側に芸人太田光の存在を感じるんだけども、役者に言わせると本人が言う以上に面白い、という効果があって、これは個人的に北野作品でも感じること。
松本人志の一連の失敗以降、芸人が監督をするブームが一旦沈静化しているが、太田光ならいけるんじゃないかな、と思わされた。

総評すると、PV→テレビドラマ→映画を観て、最後にまたPVを観させられるような作品。
悪くはないし、3人の役者としての個性も光っているので、これを機にもっと幅広い作品へのオファーが各々にきたらいいなーと思う。
その意味で、やはり新しい地図のPVの以上でも以下でもない。
ミア

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