ミア

マ・レイニーのブラックボトムのミアのレビュー・感想・評価

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black bottomは1920年代にアメリカで流行った、腰を振るダンスのことで、元はアフリカ系アメリカ人たちの間で生まれたダンスらしい

南部の黒人に向けて歌っていたブルースをシカゴ、つまり北部の黒人や白人に聴かせるためにレコーディングを行うというのが本作の基本ストーリー

こんな風に、黒人文化が白人社会の資本によって搾取され、いつの間にかアメリカ全体の文化のようにされてしまう構図を徹底して描いている

しかし本作が評価されるべきなのは、黒人対白人の関係だけでなく黒人内部の対立も描いているところである
歌の才能を武器に白人と交渉できる立場までマ・レイニーは至るのだが、しかし白人(=パラマウントという企業)との関係は抜き差しならないもので、微妙な力関係のバランスの中で彼女は踏みとどまっている

それに対し、白人への復讐心を抱えながらも表面上は擦り寄っていく(白人受けする音楽を積極的に取り入れる)ようなレヴィーの存在は彼女にとって脅威でしかない
結局は搾取されてしまうことを彼女は知っているからだ

実際、レヴィーの提供した曲は5ドルで買い取られ、白人によって演奏される

白人から搾取され、黒人内でも年齢すなわち新旧の上下関係の中で疎外されたレヴィーの行きどころのない感情が、最後の行動を引き起こしたのだろう
そう考えると、物語上レヴィーがあの行動を取りたかった対象はマ・レイニーと考えるのが妥当かもしれない
彼女は実在の人物なのでそれはできなかったということだろうが
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