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ボヘミアン・ラプソディのドントのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.0
泣いたね。開始1分で。あとラスト15分で。伝説の英国バンド、クイーンのフロントマン、フレディ・マーキュリーの半生を追う実話映画にして音楽映画。熱心なファンじゃないけど、泣いたですよ、これはね。
ドラマとして観れば出自も性的指向も病も、バンド史も曲も全体にスーッと進み、悪く言えば薄味ではあるのだが、これはつまりフレディという男の孤独と再生を「音楽」の結び目によって流れるように再構成してあるからであり、だからこそ、この映画はあの場所で終わらねばならないし、見終わった後は彼らの音楽と友情と愛の記憶だけが残る。それで正しい。音楽を挟んで“愛する誰か”を見つけた、これはそんな物語であり、「音楽映画」と呼んだのはそういう意味だ。
それゆえ、事実は「音楽に合わせて」強引に変えられる。これがこの映画の大胆さ。そうなのよ改変されてるのよ所々、特に終盤の告白。これによって歌詞が豊穣な意味を持ち、完コピされた演奏と動きが、数秒画面をよぎるメンバーや友人知人らの表情が、客たちの反応が、フレディの顔が、既に伝説となっている20分をさらなる高みに連れていく。これまでの全てが音楽に結実する。「音楽映画」と呼んだのは(以下同)
ラミ・マレックはだいぶ優しく繊細な目つきだけど、この内容であればこの目しかない、と思わせる。歯は出過ぎだと思う。おっかさん役なジョン、長男フレディとぶつかる次男なロジャー、そしておとうちゃん的存在のブライアン・メイ(似すぎ)。素晴らしいキャスティングと演技だった。部分的に不満は残れど、巨大なスクリーンとライブ並みにでかいスピーカーで体験する、フレディ&クイーンという美しき物語。皆さま是非劇場で。
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