アタフ

テルマのアタフのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.7
監督はヨアヒム・トリアー、なんとラース・フォン・トリアーの甥らしい。

「ラース・フォン・トリアーの遺伝子を受け継ぐ鬼才ヨアキム・トリアー監督が放つ北欧ホラー」

…なるほどこれは興味をそそる宣伝文句だ。ラース・フォン・トリアーの遺伝子を継ぐってことは、
この監督もイジワルな映画を撮る才能があるということなのだろうか?純粋な女性が理不尽な目に遭って苦しむ映画なのだろうか?
それも見てみないと分からないので、恵比寿ガーデンシネマで鑑賞してきました。

映画の雰囲気は『RAW』によく似ていて、親元離れて大学に通い始めた少女が自分の体に関する恐怖を味わうという展開だ。信仰心が深く厳格な両親に育てられたテルマは、自分が同性の友人を好きになってしまい葛藤する。この時点では、この葛藤によりテルマがどんどんおかしくなっていくのかと予想していたが、どうやらこの映画はそんな単純ではないらしい。

テルマにはある“力”があるのだ。この“力”の存在が判明してからはちょっとSFチックな話になってくる。この“力”に対するラストの展開は神の誕生なのか?それとも悪魔の誕生なのか?

全体的な映像のセンスは抜群で、寒々しいけど美しい感じ。特に湖から学校のプールへの映像的な飛躍は素晴らしい。主役の少女の美しさと映像的な美しさで“浸る”ことの出来る映画だったと思います。

あ、この映画結構面白かったのですが、ラース・フォン・トリアー感は感じなかったですね。イジワルではないし不快な気分にもならなかったですし、ただちょっと不条理な内容ではあるかな。
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