ダイアー教授

X-MEN:ダーク・フェニックスのダイアー教授のレビュー・感想・評価

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
4.0
題: 主演はボーイ・ジョージ似の美人
製作:2019年、アメリカ
監督:サイモン・キンバーグ
原題: スタン・リー
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、タイ・シェリダン
ソフィー・ターナー as ジーン・グレイ

全体的に暗い作品です。
まず話が暗い…『ミスティックリバー』とか『パンズラビリンス』を観た後のような感じでした。
舞台となる宇宙も暗いし、チャスティン(宇宙人)が登場するのも夜で暗い、
X-MENジュニアの野外パーティーも暗い、最終決戦も夜間で暗い…
暗いことづくめですが、それもごもっとも!
“ダーク=闇の”フェニックスですからね!
暗いのも当然だ!

ネタバレ無きよう4つにまとめてレビューします。

1.個人的に…
私、『X-MEN/ファーストジェネレーション』からのファンです。
吹き替え版も大好きで、声をアテている声優さんたちがシリーズを重ねるごとに役に入り込んでいくのもよかったです。
劇場ではあえて吹き替えで観たくらいハマりました。
本作はシリーズの完結とのことで、とても残念。
批評家の評価は芳しくないようですが、私は大好きな映画です。

2.印象的なシーン
本作は映画ならではの、“言葉に頼らない”演出や映像表現があったと思います。
それはとても印象的でした。
(1)ジーンの帰省
ジーンが学校を脱走して実家に帰って、家を懐かしむシーンは
壁の写真を見る…え?のシーケンスは思い出すだけで胸が痛くなります。
(2)地下鉄
バトルシーケンスでマグニートーが地中から地下鉄を引っ張り上げちゃいます。
1作目では潜水艦を水中から釣り上げたのと同様です。
このシーン、日陰者であるミュータントの秘めたる力が表舞台に出るって感じで好きです。
(3)Glassが割れるシーン
ガラスが割れるが象徴的に使われています。それは良くないことが起きる場面です。
・冒頭の交通事故シーン
・ジーンとお父さんの対面シーン
・チャールズとハンクの決別の場面
とても味のある演出だと思いました。

3.エリックとチャールズの愛憎劇
全2作は暴走するエリックをチャールズがなだめて、生きる場所と意味を与えて、“より良い人間=better man”になるべく導いてきました。
が、本作ではチャールズが権力の犬に成り下がり、逆にエリックがミュータントたちに生きる場所を与えています。
立場が逆転しているのです。

エリックがチャールズに
“また、すまないか!…また、言い訳か!”
と吐き捨てた場面があります。
もともとエリック派でチャールズをイケすかなく思っていた私は
「俺もそう思ってた!よくぞ言ってくれた!!!」
と心の中で拍手しました。

仲が良いのか悪いのかはっきりしない2人ですが、
ラストのシーン(フランス?)は、シリーズを愛してずっと観てきたので泣いてしまいました!
どれだけケンカしても2人の愛は不滅なのだな…(涙)

4.ソフィー・ターナー嬢
ジーン役のソフィー・ターナー、非常によかったです。
すげー美人です。
パツンパツンの肉体は、ジーンの体内にとどめておけない太陽フレアエネルギーを体現していたと思います。

彼女、「カーマはきまぐれ」のときのボーイ・ジョージを思わせます。
X-MENの背景にはマイノリティーが受けた差別、迫害の歴史があり、その中にはLGBTが含まれます。
それを考えると、GでありTでもあるボーイ・ジョージ似の美人女優をジーナ役にキャスティングしたのはメタ的な意図があるのかもしれません。
考えすぎかもしれませんが…