ホイットモア大統領

X-MEN:ダーク・フェニックスのホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
4.1
シリーズ7作目(スピンオフを含めると10作目(『デッドプール』2作を除く))にして、現在のメンバー・体制での最終作とされる作品。

本作のテーマは、まず1つに「心の変化」があると思う。

ジーンが己の心を制御できずにダーク・フェニックスとなり、チャールズは「仲間の安全」を名目にして己の保身に走るようになった。
そして人類は、脅威・差別の対象としてのマイノリティであったX-MENを、マジョリティのヒーローとして捉えるようになる。しかし、彼らがそうされたように、X-MENもまた、「理解できない存在」を恐れるようになってしまう。

これらのエモーショナルな部分はシリーズの流れをくむものだが、今回はそれがジーンをメインとする内向きベクトルのため、最終作としてはいささか地味かも。
でも、「気が変わった」マグニートーの(お前いっつも変わってんな!は野暮笑)グシャグシャポイーは真似したくなるほどカッコいい!

さらにもう1つのテーマが「家族」。

突き放すのも、救うのも、家族。
以前はチームとして描かれていたX-MENだったが、『アポカリプス』でプロフェッサーが指導者としての立場となり、若いメンバーをリクルートしてからその側面が強調され、今回で昇華したように感じた。

ただ、前述の通りこれを最終作!とするのは、うーん。『エンドゲーム』の後なのもあるけど、本作はそもそもジャンルとしてはSFホラーだ。
列車シーンでの “彼ら” は、モンスター・パニックかゾンビ映画のようだし、太陽フレアを浴びるシーンや、“彼ら” の登場演出においてもクラシック・ホラーを参考にしていると思う。つまり、それまでのシリーズとは毛色が異なる。

でも1番消化不良を起こしてる原因は、音楽。
20世紀FOXのファンファーレ時にテーマ曲が鳴らないなと思ったら、その後も1回も無し。いつものOPシークェンスすらない。

これいかに。と思ったら、音楽はまさかのハンス・ジマー先生!!
『インターステラー』を彷彿とさせるスコアは、本作のホラーな雰囲気にピッタリなんだけど、X-MENの、さらに最終作となれば話は別でした。エンドロールもそんなだから、シリーズものの最後を見届けた!という高揚感が得られなかったのが残念。
てか先生、ヒーロー映画はもう手がけないって言ってませんでした?笑

とはいえ、『ファイナル・ディシジョン』でやったことを倣っても仕方ないし、それまでの作品と差別化する意味でも、これはこれで良かったと思う。確かにこのメンバーで別な話を観てみたかった、というのが本音だけど、前作の敵が神だったし、『ローガン』もやっちゃったし、ナイトクローラー過去最高にカッコよかったし、金髪ジェシカ良かったし、ということを踏まえるとこのスコアかな。