ホイットモア大統領

リングのホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

リング(1998年製作の映画)
3.7
当時は『貞子』の予習として①

『女優霊』の流れを組み、現在まで「Jホラー」と言われる幽霊描写の最初の完成形を提示した作品。白装束で髪の長い女、音楽は極力少なくじわじわと真綿で首を絞めるような恐怖が味わえます。

特筆すべきは呪いのビデオの映像。“ビデオ” ということで、ザラつき荒い画質の中に意味不明な映像が次々に映し出される。これがBlu-rayだったら…と思うと、タイミング的にも最適な時代で、生まれるべくして生まれた傑作だったんじゃないかな。
そして、その映像が実は真実に近づくための伏線で、怖いけど目を背けてはいけないと引き込む様が見事!

さらに本作が良いのは、さながら横溝正史作品のように土着文化や血縁関係、島国であることなどをフィーチャーし、“日本らしい” 作品になっていること。前半のインタビュー映像からは、現代JKと貞子の置かれている境遇を対比し、物語に深みを持たせることにも成功している。“何も書かれていないラベルのビデオテープ” てのも、また興味をそそってしまうんだよなあ。

でも、昔は目を逸らしたくなるぐらい怖かった記憶があったのに、今見るとなんとも思えない…。
これはきっと昨今のシリーズ作品において、山村貞子をキャラクター化し、ギャグ路線も含めて宣伝したKADOKAWAさんに大きな責任があると思う。そもそも出オチのインパクトを味わう作品なんだから、シリーズ化した時点で察しかと。

最後に今回のヒロユキ情報。

松嶋菜々子の元夫兼、中谷美紀の彼氏で大学教授というハイスペック系男子に留まらず、まさかの「シャイニング」持ちの完璧ヒロユキで登場。
井戸から水を汲み出すシーンでは、松嶋菜々子に喝を入れつつ、自ら水汲みアクションを披露するなど、演技の幅広さにはただただ脱帽するばかりであった…。