Fitzcarraldo

不都合な真実2:放置された地球のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

3.5
第79回アカデミー賞(2007)長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『不都合な真実』の続編。

2015年11月30日から12月13日までフランス・パリにおいて開催された 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、新たな法的枠組みとなる「パリ協定」が採択されるまでのAl Goreの道のりを追ったドキュメンタリー。

監督は前作から交代してBonni CohenとJon Shenkの2人。

ドキュメンタリー作品のはずなのに、なぜか脚本のクレジットにAl Goreの名前が…どういうことなんだろう?講演の台詞がオリジナルの脚本ってことなのかな?


いまや温暖化の影響は、まごう事なき真実だと世界中の多くの人たちが思ってるはずだが…

日本でも豪雨災害が後を立たないことでも身に染みているはずなのだが…まだまだ環境に対する個人個人の意識は低いように思う。

当然のように歩きタバコをして、平気でポイ捨てをする奴等が目に余る。

何も考えていないのだろうし、その行為を咎めるような人が身近にいないのだろう…同じ穴のムジナで徒党を組むとそうなりやすい。

集団心理が働き、みんなやってるから当たり前に自分もやるようになってしまう。

一本の煙草くらいで、ごちゃごちゃ言うなという発想と同じことを国の大臣が口にすると、物凄い恐怖を感じる。

インド
エネルギー・電力大臣
ピユシュ・ゴヤル
「150年後なら、そうしましょう。石炭を使い尽くし雇用を作り、インフラや道路を整備したらね。だが技術を高め、国民の所得が5万〜7万ドルになるまでは低コストの化石燃料を使う。米国が150年間してきたように。もう石炭を使っていないと言うが、過去はどうです?我々も同じ量のCO2を排出します。150年ね」

恐ろしい理屈。
確かに発展途上国の視点に立てば…わからなくもないがね。しかし時代が違うのだから、その考え方は余りにも傲慢だと思う。

自分たちさえ良ければイイという発想が、人間の狂気をよく表している。

終いには…これが世界戦争に繋がるのではないか?

不安でいっぱいである。


COP21の開催前にパリ同時多発テロ事件が発生。

ゴア
「いま我々の世界に広がるテロは…はぁ(大きく溜息)打ち負かさねば。しかし、武器の力だけでなく、価値観の力が必要だ。世界の未来を思い、行動するために」

その場にいるフランス人スタッフへ、自分の言葉で熱く語りかけるゴア。

「価値観の力が必要」とは、素晴らしい言葉だと思う。重要なのは武器よりも価値観。これが変われば世界も変わるかもしれない。人類が生きていくために共通の価値観は必要である。

多くの講演を行い、人前で話すのに長けているゴアの演説力が羨ましい。

官僚が用意した文面を、ただただ朗読するだけの日本のクソ政治家とは雲泥の差。ただの棒読みマシーンだから、一体キミは何を考えてるの?と、その政治家の本性が透けて見えることはない。何を考えてるか分からない奴等に、自分の国の政を任せているという恐怖は量り知れない。

ゴアのように思いが透けるような、そして自分の言葉で語れる政治家を求める。



アル・ゴア
「長年の闘いの中で、私は何度も挫折を味わってきた。今度もだ。新たな脅威に対し、これまでになく重要なのは、権力に真実を語ること。私は全力で常に語る。気候危機を解決するという公益のために。たとえ大袈裟に聞こえても、何を為すべきかの真実に応えていきたい。誰でも、その人なりに備わってる義務感や能力で、より真実に近いものを感じ取る。そして可能な限り、その証拠を集めたら、自分の行動が正しいか確信を得られる。それは傲慢さじゃない。人間の感覚で、誰でも、馴染んでいるものだ。私は長年、この問題に取り組んできて、何が正しいか深く感じ取ってる。迷いはない」


アル・ゴア
「鮮明に覚えてる。公民権運動が初めて勢いを得て広がった時を。公安委員長は黒人の若者に高圧放水を浴びせた。大人に尋ねた。肌の色で差別する法律は正しいのかと…答えに窮した時、法律は動いた。この活動は、気候危機のためだ。人類の理念を進歩させた過去の偉大な社会運動の系譜に連なっている。どの運動も大きな抵抗に遭っている。支持者たちは絶望に沈み、ゴールが見えず道に迷った。キング牧師も公民権運動が低迷した時、“いつまで続くのか”と聞かれ、“長くはない。偽りは永遠には続かないからだ。道徳の孤は長いが、正義へ繋がっている。長くはない”我々も近づいている。転換点まであと少しだ。それを越えたら奴隷解放運動も、女性参政権運動も、公民権運動も、反アパルトヘイト運動も、ゲイ人権運動も、正か誤かの選択に変わった。人間である我々には、必然の結論しかない。人類の未来を救うのが正しいのだ。地球を汚染し、気候を破壊するのは間違いだ。未来に希望を与えるのが正しい。楽な道ではない。この活動をする我々も幾多の“ノー”に出会うだろう。詩人のウォレス・スティーヴンスは、こう書いた。“最後のノーのあとにイエスがある。そのイエスこそが未来の頼みの綱だ”
ありがとう」

Take the pledge to #BeInconvenient
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