不都合な真実2:放置された地球の作品情報・感想・評価

不都合な真実2:放置された地球2017年製作の映画)

An Inconvenient Sequel: Truth to Power

上映日:2017年11月17日

製作国:

上映時間:100分

3.9

あらすじ

『不都合な真実』(06)により、大衆文化に気候変動のテーマが持ち込まれてから10 年。人々の注意を引き、奮起させるような続編が登場する。エネルギー革命を身近に感じさせる作品だ。アル・ゴア元副大統領 は世界中を飛び回って大勢の気候チャンピオン(※注)を養成したり、国際的な環境政策に影響を及ぼしたりと、引き続き終わりの見えない戦いに挑んでいる。これまでになく高いリスクを伴いながらも、彼は「人間の知恵…

『不都合な真実』(06)により、大衆文化に気候変動のテーマが持ち込まれてから10 年。人々の注意を引き、奮起させるような続編が登場する。エネルギー革命を身近に感じさせる作品だ。アル・ゴア元副大統領 は世界中を飛び回って大勢の気候チャンピオン(※注)を養成したり、国際的な環境政策に影響を及ぼしたりと、引き続き終わりの見えない戦いに挑んでいる。これまでになく高いリスクを伴いながらも、彼は「人間の知恵と情熱により、気候変動による危険は乗り越えられる」という信念を追求している。そんな彼の舞台裏の姿を、公私や苦楽を問わず、カメラは捉えた。

「不都合な真実2:放置された地球」に投稿された感想・評価

@試写

2007年、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『不都合な真実』(プレゼンターはレオナルド・ディカプリオだった)から10年、第2部は世界を飛び回るアル・ゴアに密着取材をしただけあって、基本的にはレクチャー映画だった前作よりもずっと興趣に富んだドキュメンタリーになっている。

例えば、グリーンランドに飛んで、彼の地でずっと研究している科学者と共に、毎年平均2500億トンもの氷が失われているという有り様を愕然としながらその目で目撃するゴア。豪雨に襲われたわけでもないのに、潮位が上がったために水浸しになったマイアミの街を視察し、「長靴の丈が足りなかったよ」とびしょ濡れになった靴下を脱ぐゴア。

2015年、パリで開かれるCOP21を前にゴアはインドへ飛び、エネルギー担当の大臣と環境大臣に会う。インドは中国とアメリカ合州国に次ぐ世界第3位の二酸化炭素排出国。12億5千万人の人口のうち、3億人が電力のない暮らしを送る。400基の火力発電所計画の代わりに太陽光発電を奨めるゴアに対し、インドの大臣は次のように答える。「それは150年後に考えよう。あなたの国がこれまでの150年間にやってきたように、国民に仕事を与え、インフラが整い、石炭が枯渇してからの話だ」。

実際、COP21でもインドの首相は「我々が発展するのを妨げる協定には反対だ」と強硬な姿勢だった。皮肉なことに、彼は南インドのチェンナイで起きた大水害のために帰国し、気候変動が生じていることを認めるのだが。

温暖化により海水温が上昇し、水分の蒸発が大気中の湿度を上げ、降雨量が増えるという連鎖で、世界各地で台風やハリケーン、サイクロンが大型化し、大洪水が世界各地を襲っている。それと裏腹の現象が大規模な干ばつであり、シリアの内戦の激化に先立っては、900年に一度の干ばつで農場の6割、家畜の8割が壊滅的な被害を受け、150万人の気候難民が生じていた。

パリ協定に合意するようにインドを説得するため、ゴアはアメリカ最大の太陽光発電製品・サービスの企業であるソーラーシティ社のCEOの携帯に直接電話をし、インドに太陽光発電の最新技術を無償で提供するように申し入れる。「彼は渋々だが応じそうだ」。同時に世界銀行にもインドの太陽光発電への10億ドルの借款を提供するように働きかけていた(翌2016年7月に発表)。もう政治家に返り咲くことはないと語るゴアだが、こうしてまさしく彼ならではの政治力を遺憾なく発揮している。

太陽光発電であれば、送電線を引くまでもなく、各戸の屋根に据え付ければよい。途上国では固定電話よりも先に携帯電話が普及したように、再生可能エネルギーの技術開発は「温暖化対策か経済成長か」という2択を「温暖化対策が経済成長の原動力」へと変えつつある。

私たちひとり一人にできることはエコ・バッグを使うとか省エネの電化製品に換えるとか。そんなささやかなことが果たして効果があるのかもわからないままについ、無力感に囚われてしまうものだけれど、地球規模の環境問題にはこのような政治的な力が圧倒的にものを言う(オリンピックを東京に誘致するために賄賂を送るのとは大違いだ。ちなみにゴアも父親が上院議員という2世議員)。

ゴアは世界各国で気候変動問題に取り組むリーダーを養成する研修を行っている(COP21の国連の気候変動枠組条約事務局長クリスティアーナ・フレスは初期の参加者のひとり)。前作でもプレゼンテーションの見事さには舌を巻いたが、今作でも、インドで気温51度を記録し、道路が溶けて足を取られるサリー姿の女性や、水没した車から命からがら救出される女性、また、大豪雨をもたらす雲の全貌を遠景から撮った画像など、世界の情報を即座に取り込むところに、インターネットによって少なくとも情報においては世界が狭くなったことを実感させられる。そもそも環境問題に国境線を引くことなどできないのだけれども。

共同監督のジョン・シェンクとボニー・コーエンは夫婦。シェンクが撮影監督を兼ね、コーエンの方は「インタビューが非常に上手い」そう。

COP21の会場で、カナダのトルドー首相とゴアがすれ違う場面がある。「当選おめでとう」とゴアが握手をして挨拶を交わし、「エネルギー政策を転換してくれてありがとう」とも言う。それに対してトルドー首相は「それが国民の意志です」と返す(ああ、こんな首相をもちたいものだ)。

トルドー首相と言えば、最近、Twitterで「ジョゼフ・ゴードン=レヴィット(オリバー・ストーン監督『スノーデン』の主演男優)が呼びかけた動画を見て、ああ、自分も男だけれど彼のようにフェミニストと名乗っていいんだと思った」と話す動画がリツイートされたばかり。ついでに『スター・ウォーズ』のキャラを編み込んだ靴下をはいている写真もリツイートされてましたね(笑)。
Jun55

Jun55の感想・評価

4.3
2006年に「不都合な真実」を観て、環境問題に関心を持ち始めた人も多いのではないだろうか。自分もそのひとりだ。
前作で、アル・ゴアの講演をベースに数値(事実)を映像として突きつけられ衝撃を覚えたが、今回も同じようなスタイルで講演の参加者のようにこの10年間に起こった様々な事実を知ることになる。
特に昨今、世界中で起こっている洪水、旱魃等の異常気象の映像は迫りくるものがあり事実に勝るものはないことを実感。そして真実が前作から積み重なり、その関係性を学ぶ。
この映画は、アル・ゴアの活動に密着したドキュメンタリーだが、講演スタイルの他にパリ協定の生々しい交渉の過程も含まれていて国家間のせめぎ合いはとても興味深いものがあった。
なお、今回の映画では、環境の悪化面だけでなく、再生可能エネルギーへの転換が大きく進展しているといったポジティブな事実も採り上げている。

この映画を最新の環境問題を学習することの意味も含めて多くの人に観てもらいたい。
やはり、一番の話題はトランプ政権がパリ協定の離脱を表明したことに対する批判の部分だろう。この映画でアル・ゴアが大小の勉強会を世界各地で開催している場面が多く出てくるのだが、環境問題については風化させることなく、持続的な情宣活動がとても重要だということがよく分る。
この映画が、特に米国内の世論を大きく動かす原動力になることを期待したい。