さうすぽー

散り椿のさうすぽーのレビュー・感想・評価

散り椿(2018年製作の映画)
2.7
自己満足点 52点

自分はよく大河ドラマは観てますが、映画館で時代劇を観ることがあまり無く、恐らく去年の「関ヶ原」以来ですね。
最近はエンタメ性が強い映画を多く観てきた事もあって、たまには硬派な時代劇も良いかなと思い、観賞しました。
その結果見事に年配の方だらけで、平成生まれの自分としては少し居たたまれない思いを感じた次第です(笑)

監督は撮影監督として数々の邦画を撮っている木村大作氏であり、岡田准一が殺陣をやるという事に興味を惹かれていたので期待はしていたのですが、思いの外微妙でした。

岡田准一の殺陣は良かったと思います。
スタッフクレジットの殺陣の欄のところに彼の名前があって、自分で考えたところもあったんだなと感じました。
やはり、アクションについて非常に拘っている人なんだなと思いました。
また、邦画では殺陣の時に血が出ない事も多くて嫌だったのですが、この映画では斬られた際に血が多く出ていたので良かったです。
実際に斬られたら血が夥しく流れると思うので他の映画でもこれくらいやってほしいです。

また、音楽も美しかったです。
加古隆さんは名前は知っていましたが音楽自体は聴いたことが無かったのですが、この映画の音楽は好きでした。

演技は何人か良かったです。
岡田准一の演技自体は個人的に普通でしたが、西島秀俊は落ち着いた風貌が似合っていたし、黒木華は和風な顔ゆえか時代劇が似合っているなと思います。
ただ、黒木華の弟を演じた池松壮亮については全体的に微妙でした。
存在感は薄い訳では無いのですが、台詞回しが全然世界観に溶け込んでないと思って良くなかったです。

撮影については、
外の自然を映すときのロケーションは非常に美しかったです。
木村大作がレジェンドと呼ばれる理由が解りました。
ただ、肝心な人物の台詞回しの時等があまり拘っていないように感じました。
カットの移り変わりも激しいし、ただ俳優を映してるだけで全然面白くなかったです。

話も結構単調でした。
そもそもこの話は、亡き妻の願いを叶えるために追われた藩に戻って色々と行動を起こすのに、肝心な妻との関係が冒頭しかあまり描かれておらず、妻との深い関係を感じることが出来ませんでした。

あとこれは原作の問題なのか映画の問題なのかは解りませんが、岡田准一が戻って何をしたかったのかが分かりにくかったです。
藩の不正を暴くのか、それともただ西島秀俊を守りたかったのかがよく解らなかったです。

撮影や殺陣が良かったので、観ている分には美しい映画ですが、ストーリーがどうでも良くあまり面白くない映画でした。
少し残念です。

(余談)
この映画の最後に原作者である葉室麟に捧ぐという文字が出ました。
去年に亡くなられてましたね、ご冥福をお祈りします。