QTaka

Noise ノイズのQTakaのレビュー・感想・評価

Noise ノイズ(2018年製作の映画)
2.9
舞台が秋葉原。これがこの映画の全てかもしれない。
そこは、人波と喧騒の渦巻く華やかさと、深い闇の混在する街。
溺れるものも居れば、はい上がって生き延びるものも居る。
.
松本優作監督の2作『Noise』と『日本製造/メイド・イン・ジャパン』を見た。
その『Noise』。
秋葉原という、まさにカオスの街が舞台。
全てが有って、全てが間違っているかもしれない場所。
何もかもがそこに有って、何も得られない場所。
でも、そこにみんなが集まってくる。
そこで、みんなが生きようとしている。
だから、そこを描く事にしたのだろう。
.
三人の登場人物
彼らが秋葉原に求めていたのは、生きる場所、生きる希望。
映画は、その彼らの日常を追う。
その日常は、喧騒の中にある。
その喧騒は、彼らにとってなんの意味もない。
その無意味な日常。
その不毛な毎日。
聞こえているのは、ノイズ。
その音が、ノイズが止んだ時。
本当に生きている実感を手にすることができるのだろう。
.
喧騒の中を、這うように、泳ぐように、毎日を生きている。
そんな姿に、自らの姿を見たような気がする。
自分は、どんな日常を生きているのだろう?
.
秋葉の風景に、かつてそこで仕事をしていた頃を思い返してみようしたが、面影も無かった。
電気街だった秋葉の姿は、もう昔話でしかない。
そこにある喧騒も、かつてのものとは全然違う。
でも、そこに秋葉という場所の特殊性がそこにある。
あっという間に変化して、あっという間に多くを飲み込む。
飲み込まれた者には、居心地の良い場所になっていくのかもしれない。
でも、外から見ると、それはやはり異様な場所でしかない。
秋葉原という特異な現象をこのように舞台にしてしまう松本監督の視点はとても興味深い。
QTaka

QTaka