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希望のかなたのmiwanのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.0
難民というシリアスな題材でありながら、人間の日常の出来事をユーモアと優しさでふわっと包んで描いている。

「難民の生活」がそもそも非日常だけど、彼らにとっては紛れもなく日常生活である。そして難民を受け入れる側も然り。
命を賭けた脱出も、犯罪者扱いのような手続きも、難民に対する差別や迫害も何気ない日常生活のように描かれている。そして、難民同士の助け合い、受け入れる者の優しさと危機感、何より難民自身の危機感、、、
それら全てがユーモアを交えた日常生活として描かれていることが、ワタシたちのような難民問題の対岸にいる者にとっては、かえって心に重く響く。

それでも、クスクス笑いながら穏やかに鑑賞できたのは、陰謀や裏切りが無く、根本が人間のおかしさと優しさを描いているからだと思う。

追記:たびたび登場するエレキギターを弾きながら歌うおじさんがカッコいい。左利きギターのおじさんもいて、レストランに飾られているジミヘンを思わせる。そしてジミヘンには「I don‘t live today」という代表曲があるのも感慨深い。
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