QTaka

希望のかなたのQTakaのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.5
今、ヨーロッパが抱える最も大きな問題を、ぎゅぎゅっと凝縮して、
歌と、酒と、ユーモアを絡めて表現すると
こんなにもすんなりと受け止めることができる。
そんな映画だった。
でもね、始まってみると、意味不明な感じがそこかしこに有って、
まさに、わけのわからない映画でもありました。
シリアからの移民の青年が語る郷里アレッポでの経験は、それは想像をはるかに超える現実であり、そんな難民たちが、欧州を目指し、大挙して押し寄せていることは知らないことでは無いけれど。
さて、その一人一人はどんな人なのか。
難民として行き着いた土地でどう生活しているのか。
そして、それらの難民たちをその土地の人々はどう受け止めているのか。
一昨年から、政治をも揺るがす問題となっている欧州全土。
その中の、フィンランドのヘルシンキの街の出来事として描かれている。
さて、その街は?
ギターをかき鳴らす、路上演奏から音楽が始まる。
この歌までの間、映画には音楽が無い。
わずかなセリフで、二人の主人公がそれぞれに登場する。
それぞれの置かれた立場、状況が徐々に説かれていくのだが、
この路上演奏まで、息がつけない気がした。
ほっと一息して、このヘタウマな演奏とともに映画鑑賞が始まる。
そして、この映画は、結構飲む。やたらと飲む?
さらに、やりすぎ感があるほどの、ユーモアがある。
それが、この監督のリズムなのか。
事の問題の深刻さを、このリズムで流してくれる。
そうしないと、喉につかえてしまいそうな話だから、このリズムが心地良い。
妙な演奏も、それ無いでしょな日本料理店も、
難民を取り巻く、今のヨーロッパの姿を示すには必要な演出だと思った。

それにしても、訳の分からない映画となりそうな一本だった。
久々に、パンフレットを買ってしまった。
少し、わかった気がした。
いい映画だった。
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