円柱野郎

すばらしき映画音楽たちの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画音楽をテーマに、その歴史と作曲家、そして収録の過程などを描いたドキュメンタリー作品。

色々な映画関係者の証言やアーカイブ映像も登場するけど、このドキュメンタリーを観て「あんな人が!」「こんな人が!」「そうそうこの音楽!」という興奮を得るためには、観る側にある程度の予備知識が必要だと思う。
ジョン・ウィリアムズやハンス・ジマーなどの作曲者の事も知っていて当たり前の様に語られるし。
「E.T.」や「インセプション」なんかはクライマックスのシーンを引用しながら彼らの音楽のすごさを解説する場面もあり、この辺は明らかに観ていることが前提の作りだよね。
その上で認識を再確認するための作品って感じかな。

でもそういった前提知識があるととても面白く、共感してしまう場面は多い。
映画における音楽の効果の説明も「サイコ」などの例が分かりやすくて良い。
「映画音楽でなければ耳障りなだけ」というのはその通りだな、耳障りだから最高に効果を発揮する場面だし。
ジョン・ウィリアムズはアーカイブ映像ばかりだったけれど、「ジョーズ」が出来たころのスピルバーグとの映像などは面白かった。
70年代~80年代は間違いなくジョン・ウィリアムズの時代だというのがすごく分かる。
それ以降の代表的な作曲者も取り上げられはするけど、まあ多少語りつくせていない感はあるか。
でも映画音楽に対する敬意の詰まったドキュメンタリーだと思う。

構成的には現在の作曲・収録風景を見せながら、映画音楽の歴史や、有名作曲家が作り出した作品の紹介を差し挟みつつその世界を描いていく、という感じ。
作曲者たちは監督の意図を組んで曲を作っていくわけだが、ハンス・ジマーが事あるごとに不安にさいなまれると言っているのが印象深い。
あれだけの作曲家でも悩みに悩んで曲を生み出しているのだね。
「ジョン・ウィリアムズに頼んでくれ!」という冗談には笑ったw
あとはそうだな、ブライアン・タイラーが作曲した映画が上映されている劇場のトイレにこもって、そこで「自分の曲が鼻歌や口笛で聞こえてくるか耳を澄ますんだ」と言っていたのがちょっと微笑ましい。
円柱野郎

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