まるちよ

囚われた国家のまるちよのレビュー・感想・評価

囚われた国家(2019年製作の映画)
3.5
宇宙人の侵略によって世界が征服されてしまった「後」の話。
政治・メディア・インターネットまで全てコントロールされて9年後、レジスタンスの活動を追う話。

この映画、予告とかカバーだといかにもインディペンデンスデイみたいな雰囲気を醸し出してるんだけど、実はアクションシーン等ほぼ皆無。
監視が徹底されている中、「体制」側への反逆を行うレジスタンスの地味~な活動が大半なので結構渋めな映画である。
とは言え、ちょくちょくSF要素が差し込まれるので退屈はしなかった。

どっかで見たような展開だなって思ったら「レッド・ドーン」だった。
アメリカの一都市が突如北朝鮮に侵略、征服されたらどうなるか、みたいな映画だった気がする。
あの映画と同様に圧倒的不利な中アナログな方法を駆使して、時にはSF要素も使いつつ統治者にいかに一泡吹かせるか、という流れ。

映画の冒頭で言われる「マッチを擦れ」という言葉通り、インディペンデンスデイみたいに統治者たちを殲滅して追っ払うんだ、って話では無い。
あくまで反逆する意思を絶やさないんだ、そのためのきっかけを作るんだ、といういわば「序章」みたいな話。
まあとにかく意外と地味な映画。
手に汗握るスパイ要素は良いんだけども、悪の大ボスである統治者たちがいるんだからせめてもうちょっと派手に戦うシーンが欲しかった。

そもそも、おっさん1人に防護服を脱がされて即死しちゃうような貧弱宇宙人にすぐさま地球が征服されるものなのか、と疑問だった。
一瞬で人間が蒸発する武器はすごいけどそれ以外の兵器は透明爆弾と、謎の巨大ロボしか出てこないし・・・。
コンセプトは分かるんだけど、もうちょいお金かけてSFシーンがあればもっと話題になってたと思う。

主要キャストは渋くてすっごい良かった。
NO1役のヴェラ・ファーミガ。死霊館の時からだいぶ歳取ったように見える。
マリガン警部役のジョン・グッドマンすごいかっこよかった。スピードレーサの親父役だったわけだけど、もうすっかりおじいちゃんって感じ。
これら全然関連無さそうなメンバーが、物語の最後に実は・・・ってのがびっくりするし泣ける。

万人受けする映画ではないかもしれないけど、「どうやって一泡吹かせるか」からの次世代への繋がり、という最後がとても考えさせられる良い映画だった。

◆良いところ
- キャストがいい味出している
- ローテクとハイテクの塩梅が良い
- 統治者の正体不明感が良い
- 統治者の宇宙船やロボ?等造形が有機物っぽくてかっこいい

◆悪いところ
- いかんせん地味である
- 規模感が小さく感じる
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