もものけ

JUNK HEADのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

戦争や環境破壊を経て、生殖機能を代償に手に入れた不老不死。
人類の歴史は1600年を迎えていたが、新種のウイルスにより、その栄華に陰りが差し込み始める。
主人公バートンは、かつて人類が製造した人工生命体"マリガン"が持つ、繁殖能力を調べるために地下調査隊へ応募するのだが、果てしなく続く地下は、バートンを飲み込んでしまうのだった…。






感想。
堀貴秀監督がほぼキャスティングを務めるエンドロールに笑ってしまうほど、様々なキャラクターの吹き替えをやっていた驚き。

自主製作のストップ・アニメーションで、ここまでの作り込みと存在感溢れるキャラクターが立つ作品は見たことがないほど。

弐瓶勉の漫画「BLAME!」のまんまの世界観とサイバーパンクなキャラクターデザインですが、そこにシュールな笑いとアクションを交えて、"神様"になった人間が生命の樹を探す旅をする物語として完成させております。

テクノミュージックの良さと、カメラワークを交えたストップ・アニメーションが、これほど躍動感を出している映像として、ほぼ一人で製作しているのに驚き。

背景や小物までの作り込みも、プラモデルのジオラマ並みにこだわっており、多重構造になる地上と地下の複雑に迷路と化した姿を、迫力に収めておりました。

割と賛否両論がある作品ですが、個人的にはアニメの王道を引き継いで盛り込んだ演出と、よくここまで作り込んだと関心してしまうほどのストップ・アニメーションの精度の高さに惹き込まれてしまいました。
絵コンテからキャラクターのパーツの細かさ、滑らかに動かしているアニメーションなど、アニメ監督としての素晴らしい才能が溢れて作品に反映されております。
JUNKHEAD1を複数の製作陣で作り足した長編版らしく、30分までが監督の一人作業らしいのですが、それでもこれは凄すぎます。

天国の存在などの宗教的価値観が、生物の弱肉強食である連鎖と重なり、虐げられる者や負けてゆく者などの悲壮感が物語を切なくさせる場面など、日本人の感性の良さをふんだんに盛り込んでいます。

意外なキャラクターの驚きの展開などもしっかりと。
黒い三連星のようなアレクサンドル達が、薬で変形して強くなるなどの意外性から、自らを犠牲として"神様"を助けるシーンなど、ドラマティックです。
村の女の子も過去が描かれるホロッとする出来事など、キャラクターへの肉付けのうまさが際立ちます。

続編構想をした物語ということで、3部作に期待を込めて、5点を付けさせていただきました!!

劇場公開までこぎつけたらしく、資金と時間が課題なのかもしれませんが、個人的にはとても好きな作品であるので、是非とも3部作の完成を切望してしまう、魅力溢れるそんな作品でありました。

例え"ガラクタ"でも、何かを成し遂げるかもしれない…。
ポンコツ主人公の世界へ向けるメッセージ。
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