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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing ManのAirconのレビュー・感想・評価

3.9
良いサスペンス。
STAND ALONE COMPLEX、個と複合体の関係について、
「我々の間にはチームプレーなどと言う都合の良い言い訳は存在せん。あるとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけだ。」
という言葉で語られている感覚。


個の集合である9課を独立複合体として個として捉える的な。
別のフレームで”同時に”捉える、相似形の連続である現実の、一部を一視点だけで捉えない、より現実的な捉え方だと思った。
この同時っていうのも実は重要な気もして、バラシて考えがちなところをしっかりと同時に成立しているその在り方を描写していておもしろかった。
(⇄ショート。コストの部分だけ恣意的に見るような、バラシて考えてしまう問題はよくある。同じ次元に存在するトレードオフすらも把握していない場合も多い。つまり、”同時”と言うのは同事象の1要素だと言う様な話。)

ミクロとマクロにおける関係を、ミクロもマクロも”善”とせず、その両者のバランスで”成り立っている”、という現実というか。
マクロの犠牲になるミクロも許容しているのが、ポストモダン的思想の先の雰囲気。
(というか現実の構造は、そのミクロでさえも何かのマクロで、ミクロの犠牲の上に成り立っている、フラクタルな感じ。)
例えば、9課のメンバーやタチコマと9課の関係、最後には9課そのものが国家というマクロのための犠牲になり、スタンドプレーをする。


そして、ミクロの影響力も過小評価もしないし過大評価もしない。
ミクロがマクロに十分に影響を与えている、が、ミクロ1つ1つのやっていることは小さい。

個性を殺してシステムの一部となり理想を実現する全体主義でもなく、個性を自由としてその非協力をも肯定する個人主義とも違う。
一概に捉えられない複雑さで成り立っているのが現実で、その構造のおもしろさが表れている気がした。


細かい点
『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』でも感じた、重装備や戦車に対する恐怖感がすごい。
強さの説明(=お膳立て)が無いのに、ものすごく「強い」「ヤバい」を感じる。
火器の連射の早さとか低音とかなのかな。

総集編としては、元々のテレビシリーズを観てないからわからないけど(メインのストーリー以外の、削れる話が多かったのかどうかとか)、ストーリーの要素が欠けている感じもないし、スピード感も若干早いけどちょうどいい。
前半は駆け足感は感じない、後半は少し駆け足感はあった。

あと、前半の笑い男の技術的不可能性みたいなものはどこかにいった。
全員の目にリアルタイムで上書きしたり。
後半はすごいハッキング技術でやっている(できるもの)として描かれてた。

タチコマまわりの描写は全然足りない、けど、AIが自己犠牲の心を持ったのヤバい。。
かわいい&かわいそう。。


おもしろかったので、これからテレビシリーズ、第2シリーズ、第3シリーズ、OVA、Netflix版、観ていく。。。
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