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人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊の東京キネマのレビュー・感想・評価

2.5
松方さん追悼8本目。前作大成功で、二匹目のどじょうです。1本目が空なら、2本目は海ということで「回天」になりました。製作は大川博、企画に岡田茂、俊藤浩滋、日下部五朗。役者だけでなく、スタッフもオールスターです。それと、前作もそうだったんですが、クレジット・タイトルがロール・スーパーになってます。ということは、これもしかすると書き出しの格付けが崩壊したことの表れかも知れません。つまり、この時代、もう映画会社のスターシステムは終わっていたということなんでしょうかね。まあ、昭和30年代後半以降、日本映画ってのは当たると続編ばかりを延々と製作したお陰で、最終的にはお客さんにうんざりされてしまった訳ですが、正確に言えば、客がこなくなるまで続編を創り続けた、というのが近いんですよね。負けると分かっていて戦った日本軍、じゃなく、負けるまで戦ってしまった世界最強の日本軍、という話と同根です。もう目的が何だか分からなくなっている状態かと・・・。

お話は、想像通りの展開ながら丁寧に作っています。暇乞いや今生の別れ、といういつもながらのシークエンスですが、やっぱりどうしても泣けてきますね。特攻前の宴会で円陣を組んで歌う「許して下さいお母さん、だまって別れたあの夜を・・・」やら、「今度会うときゃ来年四月、桜花散る九段坂・・・」などなど、涙腺決壊です。

肝心の松方さん、メークのせいもあるんでしょうが、目付きがどぎつくて怖いです。出演者中一番難しい役どころなんでツボに入っちゃったんでしょうか。ちょっと新鮮だったのは、海軍上層部が「例え必殺であっても、必死である兵器を認める訳にはいかん」と言い続けていたというあたり。こういうのも、結局戦後の教育で歪められてきたことなんでしょうか・・・。
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