1980年代、貧困のカオスと化したデトロイトでの実話物語。現実に起きていることは悲惨だし、一人の少年の人生を完全に壊してしまったけれど、俯瞰すれば、ドラッグ販売網が摘発できて救えた少年少女は数多く居たはずですし、この主人公家族も、親父が覚醒したのはこの貧しさがあったからこそで、結果的には家族愛が深まってまとまったわけですから、現象的にはハッピィ・ストーリーです。
なので、卑怯だ、悲惨だ、っていうのはあるにしても、現象の先にある大きな目的を見失ってしまうと、リベラルの誘導に引っかかって、革命だ、リッチマンを殺せ、てな話になってしまうので、気を付けましょうね、という話なんだろうと思います。それを説教くさくなく描いているのが良いですね。製作がダーレン・アロノフスキーなんですか。相変わらず、良いテーマの映画を創りますね。
劇中、「俺はクライスラーに30年勤めてたのに、日本のガラクタのせいで仕事が無くなったんだ!」と口角泡を飛ばして狂ったように叫ぶじいさんの姿は夢に出てきそうですが、貧しさを日本のせいにしてもらってもなあ、とは思うものの、感情だけが言霊として残っちゃうんですよねえ。あ〜あ、怖い、怖い。。。