マヒロ

桜桃の味のマヒロのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
2.0
町外れの荒地を車でグルグルと走り続ける男。道行く人を車に乗せては、代金と引き換えに「ある事」をお願いする…というお話。

キアロスタミ監督の映画初鑑賞。
色味の少ない荒地の風景やパステルカラーの夕暮れが優しげな画面とは裏腹に、男の目的は「自殺を手伝ってもらうこと」であり、何やら暗い雰囲気が漂っている。具体的になぜ男が死にたがっているのか、なぜわざわざ他の人の手を借りようとするのか…ということは全く分からない。

ラストシーンが非常に特殊でまた解釈に困るもので、なんとなく自分の中では、現実の美しい風景から、虚構である映画の世界を飛び越えた人生賛歌みたいなものなんじゃないかな、と思ったけど…いまいち釈然としない。

映画の雰囲気は割と好きなんだけど、全く悪びれずに人を巻き込んで自殺をしようとする男がどうにも受け入れられなかった。そんな男だからこそ、彼が最後に出会うおじさんが頑固な心を揺さぶっていく様子が感動的であるとも言えるけど…結局おじさんも金貰ってるしなぁ。

(2019.23)
マヒロ

マヒロ