cocacorgi

クワイエット・プレイスのcocacorgiのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
3.0
赤ちゃんの産声は自分の存在表明である、と何かで読んだ気がするけど、ならば人類は音を立てて自分の存在を他者に知らしめる生き物。これが動物であればたぶん臭いになる。
だからたぶん、森で出会った捨て鉢なおっさんは自分の存在を誰かに知ってもらいたくてあの瞬間まで生きていた。死と引き換えに自分の存在を証明したくて。
そう思えば、彼の最期はきっと幸福だったに違いない。けどめっちゃ迷惑だからね…。
死ぬことでしか自分の存在を証明できなくて、ただ生きることすら困難で、生きるにしても窮屈で、こんな世界で生きる意味はあるんだろうか。もしかしたら、おっさんが正しいのかも知れないよね。
でもその答えはきっと普段の世界と何も変わらなくて、次世代に希望を紡ぐことが生きる意味だし、同時に生きた証になるのだと思うのよ。
だからあの家族は絶望せずに、逞しく生きていた。それを知っていたから。
一縷の希望が確かな未来へ繋がると信じてのラスト、良き。
cocacorgi

cocacorgi