シネマの流星

トップガン マーヴェリックのシネマの流星のレビュー・感想・評価

5.0
今作を一言で表せば「トニー・スコットへの壮大なlove letter」

たった1人のためだけに作品を作る。そのスクリーンから溢れる愛が、往年のファンやルーキーたちにも波及する。

前作を大きく踏襲しながら使われなかった曲が「Take My Breath Away」。チャーリーとの恋愛のテーマソングを封印したことで、トニー・スコットへのレクイエム、黙祷を捧げたのかもしれない。

前作で亡くなったグースの写真が何度も登場し、その存在感を際立たせている。この「不在の在」こそが『トップガン マーヴェリック』の心臓。

監督のジョセフ・コシンスキーは過去を現在進行形に翻訳し、トニー・スコットへの131分のラブレターを完成させた。

科学技術の発達に反比例し、パイロットの腕が落ちている時代背景を反映。ただし、軟弱化した若者を見下すためではなく、引退前のマーヴェリックと調和を取るため。

年齢も性別も肌色も、旧技術も新技術も否定しない。『トップガン マーヴェリック』が目指したのは、あらゆる否定の壁を排除し、チームとして応援し合う博愛の世界。

F-14トムキャットの登場で、往年のファンの興奮を呼び覚まし、それでも最新のF35に敵わない現実を見せつけつつ、最後は未来を担うハングマンがマーヴェリックとルースターを救う。

初めてトップガンに搭乗する観客も、前作からの信者も、それぞれの時代と握手できる最高のフィナーレ。
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