このレビューはネタバレを含みます
設定上、許しがたいことがうやむやになりかけるが、あの父親の叫びでちゃんと回収されている。
そして真実が明らかになった後でもテッドはあんな感じで、しっかりと「ヤバい奴」であることを示した。ここが良い。
まあそれでもテッドとエイプリルがジェームスをどう育てたかったのかを後から考えると、エイプリルは数学の天才を望んでいたのだろうが、テッドはいつしかベアの制作にのめり込んでいったのだ。当初はジェームスを喜ばせるためだったが、ガッチリとハマったジェームスに手を焼いていたのは冒頭でも示された。もう一回観たら、あの辺りの二人の表情とかで笑えるのだろう。
ジェームスはオタクというよりも「それしか無かった」わけで選んだものではない。そんな彼が解放されて他のものを選択できるようになっても、ベアを超えるものをなかなか見つけられないという構図が面白いし、テッドがちょっと憎めないのはクリエイティブの力の可能性というか功罪というか。その力を否定しないから今作は優しいんだろうなと感じる。
ちなみに刑事が美味いものとしてコーラを差し出すがジェームスの反応は薄いところとか、彼がどのように育ったのかが伺えて面白い。
また直近で「プリズナーズ」を見直してたりしたので、冒頭の展開はその巡り合わせで可笑しかった。
ベアの仕組みとかスゲーってなるし、ジェームスはあの作品世界をしっかりと虚構として捉えて批評できていたから、それらの小物を見てもあくまで小道具として使うことを考えていた。実社会の広大さに驚いても彼自身の想像力は次元を超えているのでそれほど戸惑わない。ジェームス最高やな。