ドント

ワンダーウーマン 1984のドントのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
3.5
 2020年。享楽と消費の裏に核の恐怖が横たわる80年代半ば、我らがダイアナが謎の石を巡って繰り広げる、こぢんまりとスケールがでかくてドラマの多いアクション活劇ムービー。
 前作で戦ったのがいわば人間の負の感情であったのなら今回は「欲望」で、なるほどこういうアプローチで来たのかと感心。当時の文化ネタも前作の裏返しをやることでスマートに解消しており、ファッションショーは大いに楽しませてもらった(ここは映画で女がドレスをお着替えするよくあるシーンのパロディであろう)
 一方で「あれっ、アマゾネス・トライアスロン必要だった?」「はよ行かんかい!」「飛べるんかい!」「比喩なのになんか成立しとる!」など監督の肩のあたりを手の甲で叩きたくなるドえれぇおおらかな脚本が続く。が、これもクライマックスの性善説的な展開に生きているのでよしとしたい。その点ではこのキャラを絶妙に演じてのけたペドロ・パスカルが本作のMVPだろう。元大統領的ほぼまんまなキャラを実に巧みに演じていてすごかった。
 ただまぁドラマが多いのはよいとして(ガル&パインの絡みは実に魅力的)、バチンとくるアクションがもうひとつ欲しかった。内容的に破竹の勢いで相手を倒す戦いが繰り広げられぬのなら、ミイラを甦らせたり砂の怪人を作るなりそういうことをやってほしい。これだけおおらかな内容だったのだから許されるはずだ。イスラエルとパレスチナまでネタにしちゃったのであるからそれくらいはセーフセーフ! 映画はもっと無責任でいいと思うのであった。
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