塚原直彦

007/ノー・タイム・トゥ・ダイの塚原直彦のレビュー・感想・評価

3.9
コロナ禍により延期に延期を重ねたが、ダニエル・クレイグ版ボンドも本作でいよいよラスト。
彼の戦いはある意味前作スペクターで終わったようなものだが、(主に商業的に)半ば無理矢理続けられた約15年に渡る旅の終わりは気になるところ。

相変わらず冒頭~オープニングタイトルまでの掴みは抜群で、ド派手なアクションあり観光地の絶景ありとこの部分だけでもIMAXで観ないと大損。
ジェフリー・ライト演じるフィリックスの再登板も嬉しいが、わずかな登場だけで全てをかっさらうボンドガールのアナ・デ・アルマスは去り際までお見事。
奇しくも世界的パンデミックを予見したような展開にも身震い。

だが相変わらずの詰め込み過ぎ感は強く、上映時間163分はやや長過ぎ。
シリーズお決まり中盤以降からの失速感は否めず、物語にも既視感がなくはないがこれが007となると話は別。
これまでのスマートでクールで隙のなかったボンドに、実際に痛々しくも苦しみ生きている人間味を与えてくれたクレイグボンドだからこそ本作のラストは尚更感慨深い。
心からの感謝とお疲れ様を、そして007は永遠です。
塚原直彦

塚原直彦