塚原直彦

バビロンの塚原直彦のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.9
全世界待望のデイミアン・チャゼル監督最新作は、劇中同様ぶっ飛んだ予算(102億円!)をかけた歴史モノの超大作。
この作品の撮影当時はまだ30代半ばという、紛れもなく若手天才監督のド真ん中最前線。

冒頭からコロナ禍のストレスを観客にフルスイングでぶつける、ある種の爽快さと覚悟。
滅菌し過ぎた感のあるララランドの反動だろう、やり過ぎなまでの露悪的な演出が目に付くが実は至って表面的。
監督の隠しきれない上品さがこぼれ落ちる映画愛に満ち満ち溢れた一本。

メインキャストは勿論、プロデューサーも兼ねたトビー・マグワイアやチャゼルの実妻であるオリヴィア・ハミルトンもナイスなスパイス。
ラストのモンタージュに乗れるかどうかで評価は大きく二分しそうだが、映画に止まらず我々人間も歴史として名を残すかどうかではなく、何かを紡いでいる存在でありその過程は細胞レベルでやはりエモーショナル。
塚原直彦

塚原直彦