よしまる

ムーミン谷とウィンターワンダーランドのよしまるのレビュー・感想・評価

3.3
 フィンランド本国で70年代末に製作されたパペットアニメーションのテレビシリーズを、デジタルリマスタリングのうえで劇場用に再編集したもの。本作がその第3作目となる。

 40年も前に作られているので当然CGなんてものはないのに、いま観るとCG感がある。それだけCGの技術が上がっているとも言えるけれど、それにしても人形の部分だけではなくセットや小物などの美術、特殊効果などの色彩感覚はさすがフィンランドと言うしかない。寒い国ならではのビビッドな色使い、厳しい自然を描写する背景美術など、これがすべて手作りとは驚くばかりだ。

 声優も面白い。主役の宮沢りえはともかく、その他の全てのキャラクターを森川智之(鬼滅のお館さま)と朴璐美(進撃のハンジさん)のふたりで18役こなしている。こりゃ平成の「まんが日本昔ばなし」だ。

 ふだんは冬のあいだ、冬眠するはずのムーミンたち。しかし今年はなせが目が覚めてしまい、冬眠せずに活動しているほかの生き物たちと触れ合ったり、見たことのない「クリスマスさん」を待ちわびたりと、幻想的なムーミン谷の冬を余すところなく描いている。

 ただし、ほとんどが寝静まっている静かな静かなムーミン谷の冬だけに、観ているほうもめちゃくちゃ眠い。油断するとすぐ落ちる。

 けれども、わざわざ体調を整えて挑むよりも、観ながらスヤスヤと落ちていくほうをオススメする。それがこの映画の持つメッセージの正しい受け止め方なのだから(絶対違う)。