カツマ

モリーズ・ゲームのカツマのレビュー・感想・評価

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)
3.9
『ソーシャルネットワーク』や『スティーブ・ジョブズ』といった実話映画の脚本で名を馳せるアーロン・ソーキンがついに監督デビュー!しかも主演は昨年の『女神の見えざる手』でも難しい役どころを演じたジェシカ・チャスティンだ。このコンビで面白くないわけがなく、上映時間140分ながら、怒涛の高速セリフまわしと、流転の連続となる主人公の波乱万丈の人生は、雪山を滑り降りるかの如く異常なまでにスリリングだ。
法廷争いへと発展する硬派な要素と、しっかりと感動要素を付加してくるドラマ性が上手く結合し、それをテンポよくセリフに乗せて肉付けする完成度の高い脚本はさすがとしか言いようがなかった。

雪が舞うモーグルのオリンピック代表選考予選会。モリーはソルトレークオリンピックを目指して栄光のスキーを走らせた、はずであった。しかし、落ちていた枝にスキーを取られ頭から転落。重傷を負い、オリンピックの夢も選手生命も途絶えた。
それから一年、モリーは不動産業を営むディーンと出会い、ポーカーゲームの世界を知る。そこにはハリウッド俳優や、有名スポーツ選手など名だたるセレブが集まり、巨額の賭け金を天秤にかける危険なギャンブルが繰り広げられていた。モリーは顧客からチップを得て、着々と準備していた。そう、彼女にはある野望があったのだ・・。

ポーカーのシーンは早セリフに輪をかけて転換が早く、字幕も高速で連続するので、集中力が求められるシーンも多い。しかし、物語の核心はスキー選手からポーカーゲームの女王へと華麗な転身を計るモリーが果たして野望の果てに得たものは何だったのか、という点だったのだと思う。オリンピックを目指していた人物がギャンブルで伝説の人物になるのだから、人生は何が起こるか分からない(から面白い)。

アーロン・ソーキンレベルの脚本となるともはや時間の流れをあまり感じさせない。ジェシカやイドリス・エルバといった実力派の演技と、骨太な人間ドラマに心ゆくまで浸かることができる、上質な温泉のような贅沢な映画体験だった。