踊る猫

海を駆けるの踊る猫のレビュー・感想・評価

海を駆ける(2018年製作の映画)
4.1
藤子不二雄が描くところの「すこしふしぎ(SF)」なストーリー。親しみやすいとも言えるしこじんまりと纏まっているとも言える。ひと口で言えばポスト3.11の心象風景にインドネシアと日本の政治的関係を絡め……つつも基本的には「素直になれない」男女のラブ・ストーリーを『ほとりの朔子』よろしく描いているのだと思う。こうした様々な要素を五目寿司風に揃えた監督の才気は流石なのだが、ラウの得体の知れない不気味さはところどころよく出ているが故にもっと彼に肉薄して「すこしふしぎ」を極めて欲しかったとも言えるし、逆にラブ・ストーリーの純度を高めて欲しかったとも言える。「二兎を追う者は一兎をも得ず」になってしまったか? ディーン・フジオカの胡散臭さとピュアさが共存するキャラクターも、もっと濃くてもよかったようにも思える(が、これは逆に他の登場人物のキャラが薄口過ぎたからかもしれない)。インドネシアの風俗の描き込みももう少し欲しかったような、でもそれは肝腎のストーリーと絡まないからこのままでもよかったかな、という……巧く評価できない。
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