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ヒューマン・フロー 大地漂流のmingoのレビュー・感想・評価

3.8
難民となった人が難民キャンプとして過ごす平均が25年間。映像素材は900時間分、世界各国の難民キャンプから実情を写し取ったドキュメンタリー。前作「アイウェイウェイは謝らない」から5年、多少丸くなった感(見た目も中身も)を感じるものの彼がアーティストとして優れているのは変わらず賢いだけではなく、客観的に世界を見つめる力が以前より付いていることがわかる。ドローン撮影を効果的に使い、時折スマホカメラでリアルな不潔で困難に満ちた難民キャンプの日常を写し取り、パワーズオブテン的発想でマクロからミクロへ、ミクロからマクロへと視点を切り替える。ドキュメントなので過剰な物語が描かれるわけではないが、かといって政治的なメッセージも往年の記録映画のような退屈さもないので、アイウェイウェイはアーティストとして素晴らしい表現物を世に作り出したと心の底から思う。個人的なことだが先週ちょうどメキシコの海に面した国境の共同通信の写真を使ってトランプのコラージュを作ったばかりで同じ構図の同じ場所が映し出されてて報道する立場として意図を組んで作らなければと引き締まる思い。
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