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ヒューマン・フロー 大地漂流のBigsのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

不勉強ながらアイウェイウェイのことを知らない状態で鑑賞。
素晴らしいドキュメンタリーでした。

基本的に全編に亘って、映される難民の方たちに寄り添った視点で描かれる。それぞれの国や地域で政治的問題や紛争等の背景があるのだけれど、そこは共通認識としてあるものとして、その背景よりは結果として酷い状況に置かれている難民たちにフォーカスしている。
彼らの置かれた状況がどれだけ酷いか、その片鱗を身を以て知ることになるし、それと同時に彼らも全く私たちと同じように、家族がいて生活や文化があるということも肌でわかる。当たり前なんだけど、日本人から見てどこか他人事になっているのは、そう思えてないからじゃないのかとも思うので、映画を通してその生活を身近に感じるというのは重要な体験だと思う。
詳細に言うと、線路や空港、路上に何年も足止めされ、不衛生で食べ物も十分ではない状態を強いられているのは衝撃的だった。あと海上から漂着した直後にアルミホイルみたいな物を渡されて体に巻いているのも印象的(断熱性が良いからか)。
そんな状況でも子供たちが"こどもらしい"のも自分たちとの共通性を感じさせる。インタビューを受けている母親にちょっかいを出したり、カメラが珍しいからか群がってきたり。

全編にわたって、どこか特定の地域・民族に限定して取材しているのではなく、様々な地域の問題で構成されているのも非常に良かったと思う。どこか自分たちと遠い国の話ではなく、人類共通の解決すべき課題であるのだと。

これだけの悲惨な状況が映される映画なのだけれど、時折映される俯瞰の映像は非常に美しいものばかり。この美しい映像があるからやはり全編惹きつけられてしまうというのもある。特に冒頭の広大な海上を難民を乗せたボートが通過するシーン。これはラストシーンとも対になっている。
あと全体的にドローンでの俯瞰ショットも多用されるが、途中(どこか場所を忘れてしまった)ドローンでかなり上空から地上に近づいてくショットも美しいしスリリングなショットだった。
この美しい映像があるから、悲惨な現状だけれども解決に向けて前進していかなくてはいけないと前向きな気持ちにさせられるんだろうか。
Bigs

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