ベルサイユ製麺

切り裂き魔ゴーレムのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

切り裂き魔ゴーレム(2016年製作の映画)
3.4
あんまりなタイトルで手が伸びにくいですよね…。ましてこの年の瀬になぁ。
自分はこのタイトルから、まさにあんまりな内容を想像して(石で出来た巨人がサーベルを振り回して大暴れ。奴を封じる事が出来るのは、はるばる清から貿易船に乗ってきた導師様だけ!出来ればドニー・イェンで!)、借りてみたのですが、コレがもうね…。
19世紀後半、ロンドンのライムハウス(←地名です)。住民を震撼させた残忍な殺人鬼、自称ゴーレム。事件を担当する優秀な刑事キルデアは⁂〆§⌘∈‰∬…で容疑者を絞り込む。その容疑者の1人、劇作家の男は既に無くなっていて、彼の妻リジーにその嫌疑が掛かり目下裁判中。彼女の美しくも健気なさまに心を奪われたキルデアは、①死んだ男がゴーレムの正体だと都合が良い②彼の妻が無実であってほしい…と思い、その線ばかり探る様になる…。

…説明だいぶ失敗してるな。
まあ、とにかくシブいんす。時代物でもガイ・リッチーみたいなアホ演出とかは皆無で、かと言って過剰なリアリズム・時代考証バカな訳でもなく、身を委ねるに丁度いい匙加減で物語は進行します。
全く安っぽく見えないロンドンの街の雑踏の雰囲気もさる事ながら、多くのパートを占める劇場の描写が良いのですよ!初舞台、チンチクリンなセーラー衣装を身に纏い少年を演じるリジーの可愛いことよ。喝采を浴びるシーンはこっちまで嬉しくなってしまいます。映画の中の映画・演劇のシーンってホントに見入っちゃうんですよね…。またの登場!
勿論、物語の本道は推理サスペンスなのですが、これは結構な変化球なのではないかしら?犯人の目星は比較的早い段階でつくのですが、優秀であるはずの主人公キルデア、今回どうも思考にだいぶバイアスがかかってしまっているようで…。こういう“主人公が信用ならない”ドラマ、大好きです!インディヴィジュアルプロジェクショ〜ン !
描写は事件の性質上止む無くまあまあグロいですかね。1.5💀ぐらい。またの登場!

こういう虚仮威し皆無の推理物を久しくみてなかった気がするので、凄く心地良かったです。子供の頃、コタツで寝っ転がって観てた、海外の推理ドラマみたいでした。良作!シリーズ化希望!刑事にドニーイェン、犯人はマックス・チャンで、舞台や時代はどうでもいいし、謎解きとか無くてひたすらに殴り合うタイプのシリーズを…。

またの登場!