ひろぽん

悲しみに、こんにちはのひろぽんのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
3.5
1993年夏に両親の死によりスペインのバルセロナからカタルーニャの叔父の家庭へ預けられた少女フリダが、新しい家族と暮らすまでの複雑な心境を描いたカルラ・シモン監督の実体験を基に作られた作品。


大人でも慣れない死を幼少期に体験し、やるせない気持ちをどこにぶつけていいのかも分からず、新しい家族と暮らすにはそれなりに時間が必要になる。

子どもの心は大人が思う以上に繊細で、大人の事をよく見ていて、誰よりもかまって欲しいし、愛して欲しいと願う。誰しもそんな時期があったんだと思う。ましてや愛する母親を失い心に大きな穴がぽっくり空いてしまった子どもなら尚さら接し方が難しい。

どんなに愛そうと実の子とそうじゃない子に与える愛の量は違うのかもしれない。登場する2人の子のフリダとアナの場合、やはりアナに対する愛が強いように感じた。終盤になるにつれ時間の経過と共にその差がドンドンなくなっていき、与える愛の質量が変わらなくなっていく様にはグッと心にきた。

どんなに優しい家族であろうと繊細な子どもにとっては「嫌われてるんじゃないか。」と疎外感を感じることがあるんだろうな。親の気持ちも子どもの気持ちも両方よく分かる気がする。

カタルーニャの自然豊かな景色は綺麗だし、生活音で成り立ってるBGMも素敵!こういう心で感じるような作品はあまり好みじゃないけど、ラスト10分くらいは本当に感動できる最高の終わり方だった。

何よりも特筆すべき見どころはフリダ役の子役!自然すぎて演技に見えないし、あの複雑な心境をよく顔の表情で表現できていて素晴らしかった👏

泣かなかったんじゃなくて、泣けなかったのか…。フリダの涙のシーンは本当に泣ける。大きな展開はないけど、親を亡くした子どもの心境が丁寧に描かれていてとても良い作品だと思う。
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