SHIN茶

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームのSHIN茶のネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

トニーがピーターへ託した遺産が今作の重要な鍵となるわけですが、前作EGでトニーは己を犠牲にすることで世界を救い、それが兵器商売を生業としていたトニー自身への贖罪となったわけです。しかし、言って仕舞えば今作もトニーのせいで、世界が危機に晒されてしまうわけで、ピーターの行動が招いた結果だったにしろ、トニーへの贖罪が無意味になってしまったと私は感じました。また、ミステリオの設定にしても、かつてトニーが馬鹿にした高度なVFX技術と最新のモーションキャプチャー技術によって生み出された偽のヒーローであり、全てはトニーへの復讐であるというものでした。実際に正体を明かしたミステリオは、モーションキャプチャースーツを纏ってスパイディと闘うわけですが、そこに私は興醒めしてしまいました。確かにミステリオというキャラクターを表現する上ではこの上なく良いアイディアなのかもしれませんが、でもそれを映画本編で見せてくる演出はいささかやり過ぎではないかと思うのです。観客にヒーローは現実に存在せず、現実は嘘の情報に塗れていて、みんな騙されている。つまり、スパイダーマンは作られたヒーローであり、ミステリオこそ現実なのだと言いたいんだろうけれど…もっとシンプルで良かったのではと思ってしまうのです。何故なら、観客は、'スパイダーマン'を見にきているわけですから。兎に角、徹頭徹尾‘フェイク’が散りばめられた本作。唯一真実なのは、ピーターのMJへの愛であり、彼の葛藤や心の成長に嘘はないのです。其処を丁寧に描いてるだけに、ヴィラン側への不満が残念でなりません。
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