mimitakoyaki

ジュリアンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ジュリアン(2017年製作の映画)
3.8
緊張感で体が強張って疲れました。
まるでスリラー映画のような不穏と恐怖…

調停によって共同親権が決まり、隔週で週末に父親と過ごすことになったジュリアン少年の目を通して、DVを巡る問題を描いた作品です。

お父さんだって子どもを愛してるし、妻のことも愛してるのでは…と思いきや、その執着は常軌を逸してるし、自分の思い通りにさせようと恫喝し暴力を振るう様が完全に病気です。

おれだってうまくやりたいんだ、愛してるんだ、と涙を流して反省してる姿を見て可哀想にも思えるけど、それって典型的なDVの人の態度ですよね。

だけど、それは外からはなかなか見えなくて、調停の場でも互いに親権を得ようとするわけですから、それぞれの言い分を聞いて第三者が正しく判断するのって本当に難しいと思いました。

ちょうど日本でも女の子が虐待で亡くなった事件があったばかりで、その事を重ねずにはおれません。
子どもを脅して嘘の手紙を書かせたりして、とことん暴力による恐怖で支配する。
その暴力は歯止めなく衝動が抑えられずにエスカレートしていく。
その異常な支配から逃れられなくなることもDVや虐待の恐ろしいところです。

きっとこういう人は自分ではやめられないから、子どもや妻と別れても、次の対象者を見つけて繰り返すのかもしれません。
だから、ちゃんとその強い衝動性や異常な支配欲がどこから来ているのかを知り対処していかないといけないのかなと思います。
ジュリアンの父親や亡くなった女の子の父親を逮捕するだけでなく、ちゃんとした治療が出来たらいいのにと思います。

とにかくいつ爆発して暴力振るわれるかわからない緊張感があって、その不安をシートベルト着用のアラートや玄関チャイムなどが掻き立ててほんとに怖かったです。

22
mimitakoyaki

mimitakoyaki