このレビューはネタバレを含みます
シュバンクマイエルの描くファウスト。
もう題材からして好き。
他の人の解釈と感性を味わえるなんて嬉しさしかないのと、シュバ爺(爆)とも気が合いそうな感じで、観てて楽しかった😊
閉じられた扉を開き、深部へと進んでいく…
繰り返されるシークエンス。
すべての空間が狭間にある、この感覚…主人公と劇中劇の中のファウスト。この人の作る世界の扉の向こう側に誘われるような、一体感にも似た中毒性のある空気感。
人形を操る何者かの手とか、本当に細かいトコで作品に寓話性を与える表現が、作品になんとも言えない味わいを与えています。
現実と粘土細工や人形劇が融合しているからこその空間演出というか…見せ方の妙というか、シュバ爺の作品でないと出せない味かも(笑)
本家ファウストの悪魔曰く…
人間は神から与えられた理性を…
ろくな事に使っていないんだとか。
もうね、掴みで作品自体が好きになるよね。
これ、メフィストってゲーテじゃんって。
そんな私の個人的な解釈がありつつ、ファウストの顔をしたメフィストの同一性とか…こういう古典作品の映像化って、監督の作品観や自身の解釈が如実に表層化するから面白いんですよね。
普遍的な題材だからこそ、原作を読んで自分なりの解釈があった方が格段に楽しい作品だと思います。
そうそう、そうなんだよね!とか。
え?そっちなんだ!?なるほど…🤔
…とかの発見が、たくさん出てくるから✨
なんのこっちゃと思われるかもしれませんが…私はシュバ爺の見せ方に、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を想起してニヤけました。
天上を求めて糸を手繰り、現実へと落下していく欲深き愚者たち。それを上から覗き込んで、嗤う悪魔の姿が目に浮かぶ。
あれ?上にいたのは…仏さまでしたっけ?
仏さまのお面着けてたとかじゃなく?🥸(笑)
いつの時代も、人は同じ過ちを繰り返す。
人のフリを見ても、我がフリは治せません!
そして、どうにか次の扉を開けたとしても…
また次の扉の前で、同じように頭を抱えてるんでしょう。
彼のように…求めるが故に(苦笑)
いやー、私って相当捻くれてるなー😑