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さすらいのレコード・コレクター 10セントの宝物のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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レコード掘り旅はアメリカのルーツ文化遺産発掘旅だった。リアリティ番組によくある、誰かのガレージで眠る貴重な名車だったり骨董品を蘇らせるお宝ハンターを思い出す。レコード・コレクターのジョーさんが発掘するのは、20世紀初頭に録音されたブルースやブルーグラスだ。それらのレコードは商業目的というより、各地で名ミュージシャンの名演奏を記録したもので、今では二度と再現できない音。そしてアメリカ大衆文化を担ったマイノリティによるもの。世界各地の民族音楽同様、そういった遺産は収集保存されにくい。その音楽にどっぷり浸かって育ったジョーさんのゴキゲンな耳と情熱が、博物館のようなレコード棚を作り上げてきたのだった。
そんなジョーさんの語るロック(及び現代ポップ・ミュージック)批判が言わんとするところはよくわかる。けれどそれこそがR&Rだし、その中にも薄く濃く残されるルーツ音楽の地図があって、遡ればジョーさんのコレクションに辿り着く。個人的には、古いブルーグラスをこの中で聴けてよかったな。
ところで、ジョーさん自身の声がまるでブルースシンガーみたいにイイ声で、見た目含めてJKシモンズ風。豪快に葉巻を咥えた流れ者の風情も漂う。インデックスも付いてない棚から探しもせずサッと目的のレコードを取り出すのがすごいっす。
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