踊る猫

予兆 散歩する侵略者 劇場版の踊る猫のレビュー・感想・評価

4.7
やるな黒沢清、という感じ。ネタを割ることになるのでこういった言及は出来るだけ避けたいのだが、『散歩する侵略者』にあったベタ甘な要素はここにはなく、脚本に高橋洋氏が加わっていることもあってかホラー方面に大きく梶を切ったという感じがする。だから両者を観比べて黒沢清監督の振り幅の大きさを堪能するのがファンに許された贅沢さというものだろう。ちょっと間延びさせ過ぎじゃないかな? というところはあったけれど(そこで少し点を私自身も減らした)、それでも『回路』『クリーピー 偽りの隣人』といった作品を膨らませた監督の挑戦は大いに買いたい。一部タルコフスキーやデヴィッド・フィンチャーの域にまでイッちゃってるところもあり(いや、そうならないのがむしろ黒沢監督っぽくて凄いとも言えるのだけど)。この作品こそがマイルストーンとして語られる監督なのではないか、と勝手に考えてしまった。
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